この発言はPS対Xboxの「ゲーム機戦争」に興じる人々の間で、野火のように広がっていった。このところ、XboxをスキップしてPSとPCのみで発売されたゲームがいくつかあったことは事実なので、開発者たちが表立って語ってこなかったことを正直に告白した発言だとみなされたのだ。しかし、開発元企業のS-GAMEはこの発言を否定しており、そもそもこの発言が実在したのかも不明だ。以下は、S-GAMEが出した声明だ。
「最近、一部メディアがChinaJoy(上海で開催されたゲームショウ)でS-GAMEの匿名開発者にインタビューしたと主張していることがわかりました。この人物は『Phantom Blade Zero』発売のプラットフォームと戦略について発言したもようです。この発言は、S-GAMEの価値観や文化を代弁するものではないことを明言したいです。弊社は、ゲームを誰でも遊べるようにするべきだと考えており、『Phantom Blade Zero』についても、いかなるプラットフォームも除外していません。できるだけ多くのプレイヤーがリリース時、そして将来的に弊社のゲームを楽しめるよう、開発と販売の両面で懸命に取り組んでいます」
この発言の出所をたどると、奇妙な結果となる。あるルートでは、中国語の発言を翻訳したブラジルのサイトの記事が見つかるが、そこに出典は明記されておらず、公式インタビューの形式にもなっていない。一方、別の説では、この発言は実は生成AIを使ってコンテンツを大量生産するサイトからのものであり、それを別の中国メディアがピックアップしたのではないかとされる。つまり、この発言は少なくとも開発チームの見解ではない上、誤訳あるいはAIの捏造がもとになった可能性もあるということになる。今回の件がそうだったかはわからないが、AIを使いコンテンツを生成するサイトがネット上で増えるにつれ、今後もこのような問題が起きることが懸念される。
ただし、Xboxが問題を抱えていることは確かだ。Xboxが『Phantom Blade Zero』のような期待作を逃しているのは、良いこととは言えない。今回の発言が事実無根のものだったとしても、アジアではXboxの普及率が低いため、その重要性も低いというのは、紛れもない事実だ。対象プラットフォームを制限する特別な契約がないタイトルであっても、PSやPCで発売されている大作をXboxが逃してしまうことは、過去に何度かあった。最近の例だと、『MARVEL vs. CAPCOM Fighting Collection: Arcade Classics』は、Xbox版の発売は予定されておらず、その理由も明らかにされていない。世界最大級のプレイヤー人口を持つ『原神』は、何年も経ってもXboxに対応していない。
このように、Xboxには取り組むべき課題がある。ただ、今回話題となった発言は、私であったら鵜呑みにはしない。
(forbes.com 原文)