ライフスタイル

2024.08.08 15:15

ヒップホップ×グラフィティ×テクノロジー:アーティストKool Koorの世界

Kool Koor and Jean-Michel Basquiat at the Fun Gallery in 1982. Photo by Lina Betrucci

ART

──アートの創造に対する見解は年を重ねるごとにどのように進化しましたか?
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今日では、新しいアートワークを展示するためにその場所で絵を描くことが多いです。展示スペースからのエネルギーを引き出すと、何が出てくるかに直接影響があると感じます。

──アートを創造する際に最も重要視する原則や哲学は何ですか?

 私にとって、それは毎日絵を描かないことです。毎日スポンジのように周りで起きていることを吸収し、そして視点、色、音、匂い、周りにあるすべてを潜在意識の中に記録しています。常に自発的に創造することが重要で、プロセスの流れに身を任せる時間と空間を自分に与えることがとても大事です。
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──新しい作品を開発する際のアプローチはどのようにしていますか?

 展示スペースをどのように自分の世界として占めたいかを考える時間を取ります。動き、形、色などを見ます。その後、すべての情報を脳内でまとめ上げ、作品を作成する前に展示の全体像を脳内でビジュアライズします。壁にかけるものの寸法は事前にすべて把握しておくのです。次のステップは作業スペースの準備です。作品を作る行為は私にとっては瞑想のようなものであり、自分が居心地良く作品を作るために、適切な光とサイズが必要です。アートが具現化するためには、良いエネルギーを持った静かな場所が必要です。この禅の状態で、私はスポンジのように精神的、霊的に蓄積していたものをすべて放出します。

TECHNOLOGY

──過去と現在において、テクノロジーはあなたの作品にどのような影響を与えましたか?

過去においては、子供として、物事がどのように機能するのかを知らない好奇心からの視点で創造していました。自由に自分独自の現実を芸術的に創造することができました。年を重ねるにつれて、物事がどのように機能するのかをよりよく理解するようになり、アートに科学と技術をリファレンスとしてより多く取り入れるようになりました。

──先日電話で話をした際に、ロボットやテクノロジーに対するあなたの絶え間ない関心と、ヒップホップとテクノロジーを融合させている様子に興味を持ちました。

 「シンボリアン・ロボット」と私が名付けて呼んでいるものは、私の作品の中で主要な存在です。彼らは未来の「人類」を表します。シンボリアン・ロボットは歩いたり、踊ったり、宇宙を飛んだりしており、私は彼らの日常を捉えて描いています。シンボリアン・ロボットは、ヒップホップ文化とも繋がっています。ヒップホップは、今も昔も、若者の目、耳、口を通して時代のシンボルとなっていると同時に、テクノロジーのおかげで、DJは単に曲を演奏するだけでなく、スクラッチやジャグリングができるようになりました。テクノロジーと若者のシンボルを融合しているのがシンボリアン・ロボットでもあります。

テクノロジーは、ヒップホップ以外にも大きな影響を与えています。ビジュアルアーティストは、テクノロジーのおかげで没入型インスタレーションを作成できるようになりました。今日、興味深いのは、人間と機械をミックスするというコンセプトが当たり前の日常になりつつあることです。ロボット工学とAIが日常生活に浸透してきており、マーカーペンのようなシンプルなものでさえ、ずいぶん進歩しています。50年前とは比べものにならないほど品質が向上しているのもテクノロジーのおかげです。

Part of the Hiroshi Shimakake Collection

Part of the Hiroshi Shimakake Collection

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文=西村真里子

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