経済・社会

2024.08.06 10:00

石炭の生産と消費、中国とインドを中心にアジア太平洋地域で増加傾向

石炭生産量の上位10カ国

世界最大の石炭生産国は中国だ。またアジア太平洋地域の国々も、トップ10に名を連ねている。

1. 中国 93.1EJ 51.9% 2.0%
2. インド 16.7EJ 9.3% 11.3% 
3. インドネシア 15.7EJ 8.8% 12.8%
4. 米国 11.8EJ 6.6% -1.9%
5. オーストラリア 11.7EJ 6.5% 3.8%
6. ロシア 9.2EJ 5.1% -1.5%
7. 南アフリカ 5.4EJ 3.0% -0.6%
8. カザフスタン 1.9EJ 1.1% -1.2%
9. モンゴル 1.6EJ 0.9% 111.6%
10. コロンビア 1.6EJ 0.9% -5.9%
※国名、生産量、シェア、増減率の順

2023年石炭生産国トップ10の国々は、前年とほぼ変わっていない。ただし、ポーランドに代わってモンゴルが10位以内に入った。

石炭消費量の上位10カ国

2023年石炭消費国トップ10は前年と同じだが、6位以下では順位の入れ替わりがある。

1. 中国 99.1EJ 56.0% 4.7%
2. インド 22.0EJ 13.4% 9.8% 
3. 米国 8.2EJ 5.0% -17.3%
4. 日本 4.5EJ 2.8% -7.7%
5. インドネシア 4.3EJ 2.6% -1.4%
6. ロシア 3.8EJ 2.3% -0.2%
7. 南アフリカ 3.3EJ 2.0% -1.6%
8. 韓国 2.7EJ 1.6% -6.1%
9. ベトナム 2.3EJ 1.4% 22.2%
10. ドイツ 1.8EJ 1.1% -21.0%
※国名、生産量、シェア、増減率の順

注目したいのは、上位10カ国のうち、2023年に石炭消費量が増えたのはアジア太平洋地域の国に限られている点だ(中国、インド、ベトナム)。西側諸国の石炭消費量は引き続き、減少傾向にある。

結論

「2024 Statistical Review of World Energy」では、全世界の石炭生産量と消費量における主な動向と変化が浮き彫りになった。石炭生産量については、中国、インド、オーストラリア、インドネシアを筆頭としたアジア太平洋地域が圧倒的に多く、世界的な石炭産業において中心的な役割を果たし続けている。

特筆したいのは、中国が生産量・消費量ともに前例のない水準に達しており、世界最大の石炭生産国ならびに石炭消費国という立ち位置をさらに固めていることだ。

インドは、消費量が増加傾向にあり、欧州と北米の合計消費量を上回った。ここから、世界的なエネルギー消費の力関係が変化していることがはっきりと見える。西側諸国の石炭消費量は減少傾向にあり、よりクリーンなエネルギー源への転換が進んでいることが反映された。

以上の動向は、世界的なエネルギー市場の状況が進化していることを明確にしている。そしてこれは、世界が炭素排出量を制御できるか否かについて重大な意味を持っている。石炭は、化石燃料のなかで炭素集約度が最も高い。従って、増え続ける炭素排出を食い止めるためには、石炭消費の増加に立ち向かうことが不可欠だ。

forbes.com 原文

翻訳=遠藤康子/ガリレオ

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