なぜ、日本にもチップは必要か?
以下、その結論を導き出すに至った代表的かつ具体的なエピソードを紹介しよう。
1.高級ホテルにて(日本)
TK(筆者のニックネーム):〇〇〇さん(泣く子も黙る上場企業の社長)とのランチです。早く着いちゃったんですが、パソコンで事務作業をしたいので、先に案内してくれませんか?
店員:いつもありがとうございます。お客様、皆様がお揃いになってからのご案内となりますので、少々お掛けになってお待ちください。
TK:予約は個室ですよね?
店員:左様でございます。
TK:パソコンでの資料作成なんで、テーブルが必要なんです。先に案内して頂けませんか?
店員:確認してまいります。【バックオフィスに入っていく →戻って来て】
店員:大変恐縮ですが、やはりもうしばらくお待ちください
TK:……。
2.高級ホテルのフレンチレストランにて(日本・アメリカから来たゲストとの会食中)
TK:日本はどうだ?
友人(ゲスト):なんでも美味しいし、なんでも安い!こんなクオリティ高いものが、こんな値段で提供できるなんて、アメリカも見習うべきだ!
TK:ところで、例の……。【今回のミーティングの趣旨であったビジネスの話を熱く語っている、まさにそのコアな会話の途中に、その会話に割って入る感じで……。】
店員:こちら、本日のメイン。短角牛のフィレ……。【いや、今大事な話してるんですけど……。】
(以下、食事後の会話)
TK:美味かったなー。
友人:いや、最高のレストランだった。サーバーが会話に割って入って来て料理の説明すること以外は。あのコアの部分の話を邪魔された時のTKの顔が最高に面白かった。
TK:……。
3.普通の庶民的なレストラン(アメリカ)
【運ばれてきた料理にはライスが一人分足りなかったので】
TK:おそらくセットには入ってないと思うんですが、ライスをもう一つ追加してください。
店員:そう、このセットにはライスが付かないんです。
TK:我々、日本人なんでライス必要なんだよ(笑)、お金かかってもいいので、一つ追加で。
店員:わかった。(ライス持ってきながら)これ、サービスしとくからね。
4.馴染みのコーヒーショップにて(アメリカ)
店員:いつも寄ってくれてありがとう。
TK:You are smart. ちゃんと覚えててくれたんだね。
店員:そうだよー、何回その顔を見てると思ってるんだよー。
TK:それもそうだ。
店員:Refill(カップはそのままでのお代わり)が必要だったら、私に言ってね。サービスしておくから。
TK:ありがとう。
5.ブランチで人気の高いレストランにて(アメリカ)
店員:いらっしゃい。注文を考えている間にコーヒーでもいかが?
TK:【その店の隣にあるコーヒーショップの方を指さして】あっちで買ってきてもいい?
店員:Good idea. あまり大きな声じゃ言えないけど、俺もあっちの方が美味いと思う
TK:だよね。ありがとう。
──ケースごとの細かい解説は割愛するが、日本で起こったケースとアメリカで起こったケースの大きな違いは、「サービスのベクトル」である。