モビリティ

2024.08.07 16:45

アジアのハブを目指す次世代型宇宙港の検討

プレスリリースより

2040年までに独自開発の宇宙往還機による民間旅客運送サービスの実施を目指す将来宇宙輸送システムは、8月1日、当初の予定どおり、次世代型宇宙港「NSP」の建設実現性の評価を行うワーキンググループの活動開始を発表した。NSPは、最終的には総合商業施設娯を完備したアジアのハブ宇宙港を目指す。
2024年7月31日時点のNSPワーキンググループ参加団体。

2024年7月31日時点のNSPワーキンググループ参加団体。

今年4月、将来宇宙輸送システムはNSPワーキンググループの発足を発表し、参加団体の募集を開始した。現在は、室蘭大学、荏原製作所、鹿島建設、商船三井、そして先日、インターステラテクノロジズに家畜の糞尿から作ったバイオロケット燃料を提供しているエア・ウォーターも参加し、1大学17企業態勢となった。また協力団体として、宇宙飛行士の山崎直子氏が代表理事を務め、日本でのハブ宇宙港の建設を目指す一般社団法人スペースポートジャパンが加わっている。

将来宇宙輸送システムは、アジャイル開発でスピーディーな完全再使用型の単段式宇宙往還機「SSTO」の開発を進めている。昨年12月には、水素、メタン、酸素の3つの燃料を切り替えて使用できるトリプロペラント方式の燃焼試験を日本で初めて成功させた。宇宙空間では水素を、大気圏内ではメタンを使うことで燃料の全体量を大幅に減らせる。それに必要なタンクを製造するために、7月、アーク溶接の技法を使った金属積層造形、つまり高度な金属3Dプリントの技術を有する英WAAM3Dと提携した。
2023年12月、トリプロペラント方式燃焼試験。

2023年12月、トリプロペラント方式燃焼試験。

機体の開発は急速に進められているが、宇宙往還ビジネスを実現するには宇宙港が欠かせない。そこで、NSPワーキンググループを立ち上げたというわけだ。ワーキンググループは、2025年10月までに実現性評価を行い、実際に建設計画が立ち上がった際に役に立つ成果物を発表することになっている。それは「事業化ロードマップ」、「事業計画」、「ラフデザイン・模型・動画」の3つ。

NSPは、宇宙船発着のための必要最小限の施設からスタートする。第2フェーズではエネルギー回収ユニット、第3フェーズでは災害対策ユニット、第4フェーズでは商業施設、第5フェーズでは宿泊施設を備え、ショッピングモール、娯楽施設、イベント会場、ホテルなどを備えた総合的な宇宙の玄関となる。宇宙港は、陸上に建設するか、洋上型になるかなど、これから検討されるということだ。

プレスリリース

文 = 金井哲夫

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