今回のラウンドには、ライフアセット・マネジメントや韓国の都市ガス会社サムチューリ傘下のSCLインベストメント、ウリ・フィナンシャル・グループも参加した。
この調達でビットセンシングの累計調達額は4600万ドル(約74億円)に達した。同社の創業者でCEOのジェウン・リーは、フォーブスに対し、「世界的な半導体企業と延長ラウンドの交渉を行っている最中だ」と述べている。
以前は自動車部品サプライヤーの上級エンジニアだったリーによると、HLマンドがビットセンシングに出資するのは今回で4回目という。HLマンドは、韓国のコングロマリットであるHLグループ(旧Hallaグループ)の中核企業だ。同グループの鄭夢元(チョン・モンウォン)会長は、現代自動車の会長の鄭義宣(チョン・ウィソン)の叔父にあたる。
2018年に設立されたビットセンシングは、自動運転車やスマートシティ向けの高解像度レーダーを開発している。リーによると、同社は来年黒字化を果たす見込みで、2026年にはIPOを計画しているという。
ソウルの南に位置する城南(ソンナム)に本拠を置くビットセンシングは、HLグループの自動運転部門であるHL Klemove(HLクレムーブ)にレーダー技術を提供している。
リーによると、ビットセンシングのイメージング・レーダー技術は、自動車向け以外にもスマートホームに応用できるという。同社は、HLグループの建設部門やスマートホーム部門向けの製品開発にも取り組んでいる。
IoT分野に進出
「現在のスマートホーム技術は赤外線センサを使用している。これは非常にシンプルで安価だが、それほど正確ではない。しかし、我々のレーダー・センサーはより正確で、照明や電子機器を制御するIoTツールにも応用可能だ」と、ソウル大学でコンピューター工学の博士号を取得したリーは話す。ビットセンシングのレーダーは、テレビを見ている人の呼吸や胸の動きから、その人が眠ったことを検知し、テレビを消すことができるという。また、睡眠をモニタリングする機能は、病院や高齢者の介護センターなどで活用できるとリーは考えている。
ビットセンシングにとって、もうひとつの成長分野はロボット工学だ。「HLグループは、配送ロボットやパトロールロボットなど、さまざまな用途のロボットを開発しており、多くのセンサを必要としている」とリーは述べている。
「HLグループの傘下には、モビリティや建設以外にも、ロジスティクス事業やゴルフリゾート、アイスホッケーチーム、大学などがある。我々の使命は、あらゆる場所にレーダーを導入することだ」とリーは語った。
(forbes.com 原文)