海外

2024.08.04 13:00

目指すは「韓国のOpenAI」、元ネイバー研究者がAIスタートアップを創業

「韓国にはLLM構築の実務経験を持つ人があまりいない」とシンはいう。シンは言語理解に焦点を当てたAIの研究分野の1つである自然言語処理を8年間研究してきた。Trillion Labsを立ち上げる前は、時価総額が韓国最大のインターネット企業NAVER(ネイバー)でAIリサーチサイエンティストとして働き、ソフトバンク・ビジョン・ファンド2の支援を受けているAI活用のエドテックのスタートアップ、Riiid(リード)にも在籍した。

Trillion Labsは年内に最初のAIモデルを発表する予定だ。このAIモデルは誰でも無料で使用・転用できるオープンソースとなる見込みだとシンはいう。最終的には企業向けのクローズドシステムを作り、韓国語と似た部分がある日本語と中国語でのAIモデル構築を目指す。

「今が正念場だと思う」とシンは話す。「迅速に動かなければ、中国や日本などの基盤モデルのプロバイダーが韓国のAI市場を支配することになる」と考えている。中国にはユニコーンの地位を獲得したAIスタートアップがすでに5社ある。01.AI、Baichuan、MiniMax、Moonshot、Zhipuだ。日本では今年初めにSakana AIがLux CapitalやKhosla Venturesなどからシードラウンドで3000万ドル(約45億円)を調達した。「この分野で存在感がなければ、自分たちでテクノロジーを発展させることはできない」とシンは語る。

AIモデルの構築には大量のデータが必要だ。韓国は中国や日本に比べると比較的小さな国だが、両国より質の高いデータを有しているとシンは考えている。「韓国では検閲が少ない」ため「データがよりクリーンだ」と指摘する。

「韓国人の興味深いところの1つは、人口が少ないにもかかわらず、インターネットのトラフィックが非常に多いことだ」「私たちはインターネット上でかなり会話をしている」とシンは話した。

forbes.com 原文

翻訳=溝口慈子

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