舞台はハワイ、オアフ島。今年も開催されるアマチュアサイクリングイベント「ホノルルセンチュリーライド」の魅力を、株式会社フィボナッチ江連亮・代表取締役が語る。
――「ホノルルセンチュリーライド」には2年連続で参加されたそうですね。
取引先の仲の良い先輩から「ロードバイクやったりしますか? 好きでなくてもロードバイクで60キロやったるわ! って気持ちあります?」と誘われたのがきっかけです。「それは、やったりますよ! ロードバイクしたことないけど」って勢いで言ったものの……。
――初回参加の際には50マイル(約80キロ)走ったんですよね。
初めてというのもありますが、まあキツかったですよね。坂道は想像以上にあるし、誘った先輩も初心者で、一緒に参加したメンバーの数人は靴の準備さえまともにしてなかったんです。ロードバイクって、ペダルに固定するビンディングがついた靴じゃないと大変なんですよ。それなのに、私はゴルフシューズという無防備さ。そのせいで、半分の折り返し、40キロ走ったところで足が攣っちゃって。
大の大人が足を攣らせて感動のゴールって、なかなかできない体験でしたよ。ビールで乾杯して、一気に仲が良くなりました。チームを組んだロードバイクは、連帯感が気持ちよかったですね。帰国後も仕事の話が気軽にできるいい縁が続いています。
――2年連続して参加しているそうですが、それだけの魅力はどこにあったんですか?
私の場合は、一緒に参加した経営者との交流ができること。そして何と言っても「ハワイ」というパワーワードですね。ハワイなら、ツラそうな運動でも、きっと楽しめるって思えた。実際、大変だけど楽しいんです。
年齢は30代後半になりましたが、この歳になって体力的に自分を追い込む体験をすることは、かなり貴重だと思います。自分自身の限界を超えての「頑張り」が空気もいい、気候もいい、気持ちいい場所で体感できるのは本当に得難い経験だなと。

そうですね、経営者というのは様々なタイプがいるのでしょうが、「負けず嫌いな人」はけっこう多いような気がします。自分もそうですが、だから目標を高く、さらに高く設定して自分を高めることに貪欲なのかもしれません。昨年、2回目の参加をした際には、倍の距離、100マイルに挑戦しましたし。
――160キロくらい走ったんですか。
はい、現地を朝の6時22分にスタートして、ゴールしたのが夕方の4時過ぎ。10時間走行。足が攣った1回目の教訓をもとに、きちんと準備もしたんです。元競輪選手のトレーナーに弟子入りし、走り方を教わって、どうすれば太ももの筋肉に負担をかけすぎずに長距離を走行できるか、研究をして。自分でも、どうしてそこまで? って思うんですが、これはやはり、もう一度あの海岸線を走りたい、ハワイの風を受けて、感動的な風景を目の当たりにしたいって強く思ったからです。
「ホノルルセンチュリーライド」の魅力の一つは、何と言ってもあの大自然を自分のものにできることです。長い登り坂を超えた後に目に飛び込んでくるマカプウビーチ(ワイマナロ湾)の光景。あれは映画のワンシーンのように綺麗で、忘れられないです。後半の風景はしんどくてほぼ覚えてないんですが。

海を渡り、ハワイという不思議なパワーを感じられる異国の大自然の中で、仲間たちと達成感を共有できる体験は他では得られない「ウェルビーイング体験」だと思います。付け加えると、チームで走れば、マラソンのような「孤独との闘い」はないんです。それを体験して、自分の経験にできることは大きいと思います。
ロードの100マイルじゃないですが、経営も長期戦。心も身体もウェルビーイングな状態でいることはコツコツ経営を継続していくのに大事なことだと思います。
それから、経営者というのは孤独な場面もあるもので、毎日さまざまな出来事に一人で悩むことも多いはず。だからこそ、毎日がウェルビーイングな状態であることが必要で、心と体が整っていることで、正しい判断ができる状態にもつながりますし、第一、他者のことが深く考えられるように余裕ができますよね。
――「ホノルルセンチュリーライド」で経営者としての状態も整えていると。
はい。今年は海外出張が重なってしまって残念ながら参加できないのですが、次回はきっと。ハワイの風が今から待ち遠しいです。