NKEは今年、109ドル前後の高値から73ドル前後の水準まで下落した。S&P500種株価指数は年初来で約13%上昇しており、NKEの今年のパフォーマンスは市場全体を下回っている。NKEの同業であるルルレモン株もまた、今年に入ってから約50%下落している。
現在、ナイキはマクロ経済的な圧力、消費者動向のばらつき、中国での実店舗販売の不振、卸売りの受注不振、デジタル販売の低迷などに苦しんでいる。そうした背景もあり、ナイキの株価は2021年11月につけた史上最高値から60%近く下落した。60%以上の下落は1980年の上場以来2度しかなく、この20年間では初めてのことだ。現在のPER(株価収益率)は20倍弱と、バリュエーションは過去10年で最低の水準であり、同社を取り巻く悲観論を反映している。このような状況下では、小さな改善でも株価を押し上げる可能性はある。
目標株価と株価パフォーマンス
私たちは、2025年度におけるナイキの年間収益は前年比4%減の491億ドル(約7兆3370億円)程度、EPS(一株当たりの純利益)は3.12ドル程度と予想している(ナイキの2024年会計年度は2024年5月31日に終了した)。私たちは修正したこの業績予測を踏まえ、同社の目標株価を91ドルとした。これは、3.12ドルの予想EPSに、29.3倍のPERを掛け合わせて算出したものだ。この目標株価は現在の株価よりも約25%高い水準であり、私たちには現在の株価は非常に割安に見える。NKEは、2021年1月初旬につけた140ドル台から、現在の73ドル前後の水準まで、約50%の急落に見舞われている。過去3年間のリターンは、2021年に18%、2022年にマイナス30%、2023年にマイナス7%だった。一方、S&P500のリターンは2021年に27%、2022年にマイナス19%、2023年に24%であり、NKEのリターンはすべての年でS&P500を下回った。