アジア

2024.08.05 09:00

民間投資の回復を目指す中国、ただし民間企業の「声を聞かない」新たな策

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中国経済は民間企業による事業と雇用への投資拡大を切実に必要としている。だが、民間企業は依然として投資に消極的だ。業を煮やした中国国家発展改革委員会(NDRC)の高官らは、そうした姿勢を一転させるための策を打ち出した。この策は政府の方針に基づくものであるため、民間企業からどれだけ賛同を得られるか、ひいてはこの取り組みがうまくいくかどうかは見通せない。NDRCが経済的に適切な方向へと誘導できるかどうかすらわからない。

民間企業は中国経済にとって極めて重要だ。その重要性を示すのが、中国政府がいう「5、6、7、8、9」という数字に示される特徴だ。民間企業の納税は政府歳入の50%を占め、そして経済全体の財とサービスの60%が民間企業によるものだ。民間企業はイノベーションの70%を生み出しており、都市部で働く人の80%を雇用し、新規雇用の90%を創出している。

だが、民間企業はまだ新型コロナのパンデミック(世界的大流行)から完全には回復していないようだ。2023年の民間企業の成長率はわずか1.9%だった。それに比べ、国営企業は4.4%成長した。また、民間企業による設備投資は0.2%減った。この消極的な姿勢が中国経済にとって大きな足かせとなっている。

この問題に対処しようと、NDRCは民間企業の設備投資を加速させるべく、17項目から成る計画を刷新した。これだけの項目があると圧倒的なもののように思えるかもしれない。だがその大半は、中央の当局と地方政府が民間企業の資金が注がれるべき分野をどのように決定するかについてだ。

計画によると、NDRCは「発展する大きな可能性を秘めている」と思われる「重点産業」を特定する。各省の開発改革委員会に意見を求めた後、NDRCは重点産業への民間投資を促す。当局者らは、投資を多く促せるのは交通や水保全、クリーンエネルギー、新しいインフラ、先端製造業、近代農業などだと指摘している。
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翻訳=溝口慈子

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