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2024.08.20 13:30

アニマルスピリッツを言語化せよ フォーブスジャパンが見てきた「日本経済の根深い体質」10年史

『Forbes JAPAN』は2024年8月号で創刊10周年を迎えた。未来と世界をよくしようとする挑戦者たちを応援する経済誌としてForbes JAPANでは、スタートアップや中小企業、そして才能のある若者に注目し、主要テーマとしてきた。なぜこの3つなのか、その理由を紹介しよう。

スタートアップ、スモール・ジャイアンツ、30 UNDER 30の3つを我々の主要な編集テーマと位置づけたのには理由がある。スタートアップはベンチャー企業を指し、スモール・ジャイアンツは革新的な中小企業を表彰するアワード。30 UNDER 30は「30歳未満のすごい30人」として、こちらも年に一度、選考会を行い、表彰する。

まず、この3つのテーマの背景からさかのぼっていきたい。1960年代以降の政府の中小企業支援策と、そこから派生したベンチャー支援策を振り返ると、面白い発見と疑問が浮かび上がる(政府の過去の政策はインターネット上でも閲覧可能)。

高度経済成長期の1963年に成立した中小企業基本法により、中小企業支援策は、大企業との賃金格差や不利な下請け構造を是正する目的で施行された。いわく、「弱者の救済」だ。

そして時代とともにその政策は更新されていく。70年代は成長が期待できる中小のベンチャー型企業を支援するため、新分野に進出しやすくする計画が立てられたり、新製品開発の「知識集約化事業」の方向性が決定したり、当時の時代環境に合わせた積極的な成長策になっていく。80年代になると、グローバリゼーションをテーマに、多様性を踏まえた政策展開が方向づけられた。経済の構造変化への適応がしやすくなる新事業促進などだ。

90年代後半になると、中小企業支援とは別にベンチャー振興が明確になる。資金が流れやすくなるようにベンチャーキャピタルによる投資活動の活発化を狙った投資事業組合に関する法律が成立。

今、こうして振り返ると、方向性は間違っていないどころか、未来を先取りした政策に見える。また、70年代、80年代、90年代の各ベンチャーブーム期に登場した企業をみると、70年代の第一次ブームで日本電産(現ニデック)、すかいらーく、キーエンス、コナカが設立され、80年代にHIS、ソフトバンク、スクエア、90年代に楽天、DeNAといった新たな価値を創造し、産業を推進する企業が並ぶ(参議院事務局企画調整室の論考「我が国のベンチャー企業・スタートアップ支援等を振り返る」を引用)。
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文=藤吉雅春 イラスト=クロウ・ゼッツィ

この記事は 「Forbes JAPAN 2024年8月号」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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