藤野英人代表のビジョンを実現するため、社内の知が結集した大プロジェクト。その裏側を、開発に大きくかかわった3人が語り合った。
――「ひふみクロスオーバーpro」(以下、クロスオーバーpro)に、それぞれどうかかわったのかをお話しいただけますか。
中路武志(写真中。以下、中路):私はSBIインベストメント(以下、SBI)に22年在籍して、ベンチャーキャピタル(以下、VC)の管理やファンドの企画・営業を担当、後半は全ファンドの投資委員として、投資の可否を決める立場にいました。昨年5月、藤野(英人)からクロスオーバーproの構想を聞かされ、今までのノウハウを生かしてほしいと。VCは天職だと思うほどスタートアップが好きなので、翌6月にグループ内異動でこちらに参りました。
堅田雄太(写真右。以下、堅田):私は営業担当です。未上場株を組み入れたファンドに抵抗がある方もいるので、それを解きほぐしていくのが私の役目ですね。
松本凌佳(写真左。以下、松本):私の担当は運用と運用戦略の立案ですね。投資信託は規制が多いので、それに抵触しないよう運用戦略を考える。未上場株を組み入れたファンドをゼロからつくるのでとにかく難しいです。
まつもと・りょうが◎株式戦略部 ファンドマネージャー。2022年、東京大学経済学部経済学科卒業後、新卒でレオス・キャピタルワークス入社。2022年6月より、株式戦略部で企業調査に従事。
中路:当初、私がレオス・キャピタルワークスに入って感じたのは、意外と保守的だなと。すぐに「それはできない」と抵抗されるので何度もカチンときていましたね(笑)。
松本:「できない」は、堅田さんと私が3対7で、私が多く口にしていました。
堅田:というのは、とにかく弊社初の試みですから、慎重を期するチャレンジばかり。クロスオーバーproは、未上場株を15%までしか入れられない仕組みで、さらに分散投資規制といって、1銘柄当たり10%以上は投資できないスキームになっている。ところが未上場株が上場した際には株の価値が大きく変わって、結果的に組み入れ比率が大きく変動する可能性があります。
松本:まさに株をもち続ける「クロスオーバー」ならではの現象です。その株価の膨らみ方をいろいろな仕方で計算予測するなどして投信の設計図を描くというか。
堅田:ルールにのっとったうえで、こうした組み入れ比率をどうするかなどを考えるわけです。これはあくまで一例ですが、投資信託は事前の設計に緻密さが求められる世界で、社内の知を結集しなければできないことでした。
中路:今回のファンドづくりは、スタートアップを支援したい政府の強い意向もあったので、業界の動きも早かったと思います。投資信託協会に相談すると、金融庁に一緒に行きましょうとすぐに応じてくれました。
松本:中路さんのフットワークには本当に助けられています。自分ひとりではどうしようもできない難題にぶつかったときなどに相談に行くと、その日の午後とか翌週には「解決したよ」とアッサリ。「できないことを、できるようにする」プロだと思いました。
なかみち・たけし◎ 取締役CCO コンプライアンス本部長。SBIインベストメントに入社後、管理部長、営業企画部長等を経て、2015年より8年間、取締役執行役員副社長としてVCの経営に従事する。また、SBIグループおよびVCファンドの投資先の多数の会社の取締役を歴任し、管理体制やコンプライアンス体制の強化を担当。23年6月より現職。
中路:社全体のプロジェクトでしたが、完成に向かうにつれ、革新的な投信を実現しようとムードも高まっていったよね。
松本:最初は「できない、無理です」ばかり言っていた私も(笑)、中路さんの突破力に感服し、視野が広がりました。
堅田:このファンドは、上場株を長年運用してきたレオス・キャピタルワークスのチームと、レオス・キャピタルパートナーズという未上場株の運用チームの力がうまくかみ合って、つまりクロスオーバーして、今後成長するであろう銘柄を発掘することが重要になります。
松本:全社的といえば「ひふみワールド」という世界株の投資信託の担当者から、海外の成長企業に関する情報を聞くことも。この動きはいずれ日本でも起きるだろうと考えて、関連する企業を訪問し、調査したこともありました。
――クロスオーバーproのユニークポイントをお話しいただけますか。
中路:VCはIPOがゴールといわれてきました。しかしそれがスタートアップ育成の問題点でもありました。だからこそ、IPO後ももち続けて支援できるのが、独自のユニークポイントだと思います。
松本:既存のファンドは投資したお金が会社に直接行きわたるわけではなかったのですが、このファンドは未上場企業にダイレクトに届けられる。そうして企業の成長に直接使われるのが、これまでのファンドと違う部分ですね。
弊社では「顔が見える運用」を目指しているので、投資した企業について、毎月説明会を開いてオンラインで公開してきました。このファンドでも、企業はこんなふうに成長しています、投資してくださったお金がこのように使われていますという報告を、できれば毎月やっていきたい。その企業に愛着がわいてきますからね。
堅田:よく「この工場の柱1本分ぐらいは自分が出したお金だ」みたいなことを言いますけど、まさにそれが実感できる。
松本:ですよね。皆さんのお金が未来の価値をつくっていく可能性が十分にある。そこがこの商品のユニークさだと思います。
堅田:そして運用するファンドマネージャーがどんな人なのかも伝えたいですね。未上場株への投資は、「誰がどんな価値観で投資しているのか?」の重要性がより大きくなるので。
かたた・ゆうた◎営業管理本部 副本部長 兼 サステナビリティ経営デザイン室 兼 広報IR部。2012年、レオス・キャピタルワークスにアルバイトとして入社。2014年、早稲田大学大学院基幹理工学研究科を卒業、新卒で同社に入社。株式戦略部でアナリストを経て24年7月より現職。
中路:松本君が顔をお披露目して、お話しする機会がもっと増えるかもしれない(笑)。
堅田:販売パートナーさんからもこうした理念に共感して、「ぜひやらせてください」というところが何社か出てきています。新しい金融のスキームで日本を少しでも前に進めていきたいという思いを、業界の反応から感じています。
中路:最近は日本の優秀な若手が起業するようになりました。能力のある人が会社をつくるという潮流がもっと国内に広がってほしい。そして、私たちの新しいファンドの価値も広がるといいなと考えています。
SBIレオスひふみ
https://www.sbirheoshifumi.rheos.jp/レオス・キャピタルワークス
https://www.rheos.jp/
投資信託にかかるリスクについて価格変動リスク:国内外の株式や公社債を実質的な主要投資対象とする場合、⼀般に株式の価格は個々の企業の活動や業績、市場・経済の状況等を反映して変動し、また、公社債の価格は発⾏体の信⽤⼒の変動、市場⾦利の変動等を受けて変動するため、その影響を受け損失を被るリスクがあります。
流動性リスク:有価証券等を売却あるいは取得しようとする際に、市場に⼗分な需要や供給がない場合や取引規制等により⼗分な流動性のもとでの取引が⾏なえない、あるいは不利な条件で取引を強いられたり、または取引が不可能となる場合があります。これにより、当該有価証券等を期待する価格で売却あるいは取得できない可能性があり、この場合、不測の損失を被るリスクがあります。
信用リスク:有価証券等の発行者や有価証券の貸付け等における取引先等の経営・財務状況が悪化した場合またはそれが予想される場合もしくはこれらに関する外部評価の悪化があった場合等に、当該有価証券等の価格が下落することやその価値がなくなること、または利払いや償還金の支払いが滞る等の債務が不履行となるおそれがあります。投資した企業等にこのような重大な危機が生じた場合には、大きな損失が生じるリスクがあります。
為替変動リスク:外貨建資産を組み入れた場合、当該通貨と円との為替変動の影響を受け、損失が生じることがあります。
カントリーリスク(エマージング市場に関わるリスク):当該国・地域の政治・経済情勢や株式を発行している企業の業績、市場の需給等、さまざまな要因を反映して、有価証券等の価格が大きく変動するリスクがあります。エマージング市場(新興国市場)への投資においては、政治・経済的不確実性、決済システム等市場インフラの未発達、情報開示制度や監督当局による法制度の未整備、為替レートの大きな変動、外国への送金規制等の状況によって有価証券等の価格変動が大きくなる場合があります。
未上場株式等への投資に関するリスク:当ファンドは、投資事業有限責任組合を通じて実質的に未上場株式等に投資を行なうため、他の金融商品を組み入れた投資信託と比較して、加えて、主に以下のリスクがあります。これらのリスクにより、基準価額が大きく下落し、損失を被るリスクがあります。
・当ファンドが実質的に投資する未上場株式等は、各銘柄の価格が各企業の個別要因や イベント(デフォルト、上場、M&A等)によって大きく変動し、上場企業の株式とは値動きの方向性や変動率が大きく異なる場合があるため、評価額が大きく変動し、その影響を受け損失を被るリスクがあります。
・当ファンドが実質的に投資する未上場株式等は流動性が著しく乏しいため、売却時に不利な価格での取引をせざるを得なくなるなど、流動性リスクおよび各種リスクの影響が大きくなる可能性があります。
・未上場株式等の評価額については、その時点で入手できる情報に基づいた公正価値の見積りであり、日々の投資信託の基準価額算出においては、影響を受ける可能性のある 重要な事象を完全かつ正確に反映することが困難となります。
したがって、お客様(受益者)の
投資元本は保証されているものではなく、基準価額の下落により損失を被り、投資元本を割り込むことがあります。詳しくは、投資信託説明書(交付目論見書)の「投資リスク」をご覧ください。
「ひふみクロスオーバーpro」にかかる費用について■お客様に直接的にご負担いただく費用:
購入時手数料:申込金額に対する手数料率は3.30%(税抜3.00%)を上限として、販売会社が定める料率とします。購入時の商品説明または商品情報の提供、投資情報の提供、取引執行等の対価として販売会社にお支払いいただきます。「自動けいぞく投資コース」において、収益分配金を再投資する場合は無手数料です。なお、お取り扱い可能なコースおよびコース名については販売会社によって異なる場合がありますので、販売会社にお問い合わせください。
換金時手数料・信託財産留保額:ありません。
■お客様に間接的にご負担いただく費用:
運用管理費用(信託報酬):信託財産の純資産総額に対して年率1.650%(税抜年率1.500%)を乗じて得た額。信託報酬とは、投資信託の運用・管理にかかる費用のことです。日々計算されて、投資信託の基準価額に反映されます。なお、毎計算期間の最初の6ヵ月終了日および毎計算期末または信託終了のとき「ひふみクロスオーバーpro」の信託財産から支払われます。
その他費用・手数料:組入有価証券の売買の際に発生する売買委託手数料(それにかかる消費税等)、先物取引・オプション取引等に要する費用、外貨建資産の保管等に要する費用、租税、信託事務の処理に要する諸費用、監査法人等に支払うファンドの監査に係る費用(監査費用)およびそれにかかる消費税等、受託会社の立て替えた立替金の利息など。 監査費用は日々計算されて、毎計算期末または信託終了のとき、その他の費用等はその都度ファンドから支払われます。これらの費用は、運用状況等により変動するものであり、予めその金額や上限額、計算方法等を具体的に記載することはできません。
レオス・キャピタルワークス株式会社
金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第1151号
一般社団法人投資信託協会会員・一般社団法人日本投資顧問業協会会員