大赤斑が写っていない木星の画像を見るのが珍しいほど、非常に象徴的な模様だ。実のところ木星は10時間弱で1回自転しているにもかかわらずだ。
だが、この大赤斑が縮小しつつあり、その原因を明らかにしたとする研究結果が発表された。
楕円形の渦構造
大赤斑は、地球がすっぽり入るくらいの大きさがある巨大な嵐で、木星の南半球に位置しており、少なくとも1831年から吹き荒れ続けている。赤橙色をした楕円形の渦構造で、幅が約1万6000km以上に及ぶ。時速約680kmの風が反時計回りに吹いていることから、低気圧ではなく高気圧と見られている。大赤斑をめぐっては不明な点も多い。いつ形成されたか、なぜ形成されたのか、なぜ赤色をしているのかについても、明らかになっていない。わかっているのは過去100年間にわたり、特にこの50年の間に小さくなってきていることだ。
より小型の嵐
今回の最新研究では、大赤斑が縮小している原因を解明している。学術誌Icarusに掲載された論文によると、大赤斑と木星大気の3次元シミュレーションに、より小型の嵐との相互作用を組み込んで、一連の解析を実施した。その結果、小型の嵐の存在によって大赤斑が強まり、大きくなる一方、小型の嵐が存在しない場合は縮小することが示唆された。論文の筆頭執筆者で、米エール大学文理大学院の博士課程学生のケイレブ・キーベニーは「木星で起こることが知られているように、より小型の嵐を大赤斑に『摂取』させることで、大赤斑のサイズを調節できることが、今回の数値シミュレーションを通じて明らかになった」と説明している。