瀬戸内エリア内外の起業家やアトツギをゲストに招き、瀬戸内・中四国特化型ベンチャーキャピタル「Setouchi Startups」の共同代表、藤田圭一郎と山田邦明がVC目線でゲストのビジネスストーリーを深掘りします。
今回は、デザインとテクノロジーを組み合わせ、企画設計から施設運営まで一貫した空間プロデュースを手がけ、瀬戸内にもゆかりのあるstationから共同代表の渡邊雄介さんと三宅高弘さんをゲストにお迎えした回をご紹介。
ハード面を語られがちな場づくり・街づくりの中で、コミュニティというソフト面に向き合い支援していくstation(本社・東京)。コミュニティがぶつかりやすい課題とデザインによる乗り越え方について、今年10月31日に開業する愛知県のスタートアップ支援拠点「STATION Ai」での事例も交えながらお届けします。
デザイン会社から場づくりの会社へ 2人だったからこその挑戦
三宅:stationの共同代表兼DEO(デザイン・エグゼクティブ・オフィサー)の三宅です。不動産を軸にした場づくりや街づくりに対して、デザインやテクノロジーを強みに様々な支援をしている会社です。渡邊:共同代表兼CEOの渡邊です。僕が人に会いに行って事業価値を伝え、案件化をしてくるという役割、三宅は長期経営計画やプロダクトやサービスの可視化をする役割を担っています。
僕たちは元々同じ会社で働いていました。当時、僕がマーケティング部長、彼がデザイン部長として普段から一緒に仕事をする機会が多かったんです。彼がデザインしたものを僕が広げていく役割だったので、その延長線で今があります。その頃から彼が作るものが好きで一緒に仕事したいと思っていたこともあり、2人とも辞めるタイミングで、新しいことを一緒にやろうとデザイン会社を作ることになりました。
山田:最初はデザイン会社だったんですね。
渡邊:最初はそうですね。大手企業が新規事業を開発したいときのデザインや、デザイナーの教育研修などを提供していました。ずっと資本を入れずにスモールビジネスをやり続けてきましたが、途中で「やっぱり人生はそんなに長くないのでチャレンジしよう」と三宅から強い打診を受けたんです。
僕はこうみえて堅実なタイプで、三宅の方が攻めることが多く、「変わらないことはリスクだ」と三宅に言われて感銘を受けたこともあります。変化がないことは逆に危ないと言ってもらったときに、なるほどな……と。僕1人で経営していたらそういう考えを聞く機会もなかったと思うと、2人でやっていてよかったなと思います。
システムだけでは上手くいかない コミュニティデザインの必要性
三宅:今は、選ばれる場・街づくりをデザインとテクノロジーで支援しています。場づくり・街づくりというと、基本的にはハード面の施設や設備をどうするかの議論が先行しがちだと思っています。ですが、これからの世の中は、建物を建てただけで選ばれていくんだろうか?と考えていて。ハードだけではなくて、ソフトの特にコミュニティが付加価値になって選ばれていくと考えて事業を行っています。瀬戸内エリアでは、岡山県の旧牛窓診療所をリノベーションしたコミュニティの場「牛窓テレモーク」や広島の複合型施設「ミナガルテン」を支援してきました。