【お知らせ】Firefoxでの記事閲覧について

サイエンス

2024.08.04 16:00

「コカイン陽性のサメ」発見、ブラジルの海で奇妙な異変が起きている

Getty Images

ブラジル沿岸の浅い水域に生息するサメを検査したところ、全13検体からコカインの陽性反応が出て、科学者を驚かせた。

2011年から2017年にかけ、下水と地表水(河川、湖など)からコカインが検出された国は少なくとも37カ国。さらには軟体動物、甲殻類、硬骨魚類など、さまざまな水生生物からもコカインが検出されている。だがこれまで、コカインの「サメ」への影響についての研究はまったくされていなかった。

そんな中、ブラジルのOswaldo Cruz Foundation(オズバルドゥ・クルス財団)が初となる、サメを対象とした詳細な調査を実施。研究チームはリオデジャネイロの近海で操業する漁船からシャープノーズシャーク13匹を入手・分析し、前述の衝撃的な結果を発表した。シャープノーズシャークは体長1メートル以下とサメの中では比較的小型で、主に小魚やイカを餌とする。

研究チームが海洋汚染研究の中でシャープノーズシャークを対象としたのは、一生を沿岸水域で過ごすこのサメが沿岸汚染の影響を最も受けやすい魚種だからだ。

研究者らはサメの筋肉と肝臓から組織サンプルを採取し、コカイン、そしてコカインが肝臓で代謝される際に生成される化学代謝物ベンゾイルエクゴニンをスクリーニングした。分析には、混合している物質を分離させる液体クロマトグラフィーとタンデム質量分析法を組み合わせた、非常に精度の高い手法を採用した。

結果、検査した個体はすべて陽性。さらにそのコカイン濃度は、これまで他の海洋生物の検査で報告された濃度の100倍にも達した。また、13匹中12匹のサメの体内からベンゾイルエクゴニンも検出された。
次ページ > コカインは一体どこから?

翻訳=猪股るー

タグ:

ForbesBrandVoice

人気記事