サイエンス

2024.08.04 16:00

「コカイン陽性のサメ」発見、ブラジルの海で奇妙な異変が起きている

一体、このコカインはどこから来たのだろう? 現在、密造施設からの流出、薬物使用者の排泄物、密売人が海に投棄したコカインの塊がサメの餌になった可能性、またはこれらの複合といった、いくつかの仮説が立てられている。

コカインは脳に作用する薬物で、動物が摂取すると予測不能な異常行動を引き起こす。そんなコカインをこれほどの濃度でサメが摂取した場合、どのような影響が出るのだろうか? しかし今日におけるサメの行動研究は限定的で、コカインがサメ(ひいては他の海洋生物)に与える影響はまだ明らかになっていない。とはいえ「コカインザメ」が攻撃的になるなど、予測不能な行動を取る可能性は十分に考えられる。

同研究の報告書によると「薬物乱用が脊椎動物に及ぼす向精神作用を考慮すると、死に至るものではなくとも、種の保存に影響を及ぼす未知の行動変化が起こる可能性がある」

食用魚でもあるサメのこれほど高濃度のコカイン汚染は、それを食べた人間の健康や行動にも影響を及ぼし得る。

この点についても報告書は懸念を示す。「サメはリオデジャネイロ州だけでなく、ブラジル全土、さらには世界中で多く食されている魚であり、その汚染は人間への潜在的な健康リスクを示している」


出典:『コカインザメ:サメにおけるコカインとベンゾイルエクゴニンの検出に関する初の報告書』(自然科学ジャーナル『Science of the Total Environment』2024年)DOI:10.1016/j.scitotenv.2024.174798 ガプリエル・デ・ファリアス・アラウジョ、ルアン・バルデミロ・アルベス・デ・オリベイラ、ホドリゴ・バルセロス・ホフ、ナターシャ・ウォズニック、マルセロ・ヴィアナ、シルヴァーニ・ヴェルック、ハケル・アン・ハウザー・デイビス、エンリコ・メンデス・サジオロ

forbes.com 原文

翻訳=猪股るー

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