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サイエンス

2024.08.01 15:00

カラオケを使って研究、「赤面」と脳活動の関係が明らかに

Getty Images

カラオケでうまく歌えないところを人に見られるほど恥ずかしいことはない。それは本当に屈辱的な体験だ。研究者たちが「赤面」に関する研究するためにカラオケを利用したのはそれが理由だ。

かつてチャールズ・ダーウィンは、赤面に関する生物学を不思議に思った。著書『人及び動物の表情について』の中で、「赤面はあらゆる表情のなかで最も特異で、最も人間的なものである」と彼は書いている。しかし今日になっても、赤面症の背後にある神経科学に関して、科学者らは確信を持っていない。最近の研究でオランダの研究チームは、他人が見ていることを伝えた上で難しいカラオケの曲を歌わせることで、赤面について詳しく研究しようと試みた。

もしあなたが、自分が歌うところを人に見られていると想像してすでに顔が赤くなっているのであれば、研究の参加者がどう感じたのかを想像して欲しい。

参加者は全員、16歳から20歳までの女性だ。「赤面に対する恐怖はこの時期に高まることが知られています。青春期は他人の意見に対して非常に敏感で、拒絶されたり誤った印象を与えることを恐れるからです」と本研究の責任者で発達心理学者のミリカ・ニコリッチはオランダ神経科学研究所の声明で語る。

参加者は、実験の一環としてMRI装置の中で動画を見ると告げられていた。しかし、その動画はカラオケで歌っている自分の映像であり、それを他の人たちも目にすることになると知ったのは実験室に入ってからだった。

実験の参加者はまず、カラオケで歌うところを撮影される。楽曲は一般的なカラオケの曲から選ぶのではなく、あらかじめ決められた難しい曲であるアデル『ハロー』、T.A.T.u.『オール・ザ・シングス・シー・セッド』、『アナと雪の女王』のサウンドトラック『レット・イット・ゴー 〜ありのままで〜』、マライヤ・キャリー『恋人たちのクリスマス』の4曲を歌わなければならない。

後日、実験室を訪れた参加者たちはMRI装置に入れられ、自分が歌っているところと同じ楽曲を他の参加者や、プロの歌手が歌っている映像を見ている時の脳活動が測定された。また参加者は頬にもセンサーをつけ、顔の温度変化を測定することで、研究者は石綿と脳活動を同時に調べた。

誰もが想像するように、参加者は他人が歌うのを見た時よりも、自分の歌唱を見た時のほうがより顔が赤くなった。他人の歌がうまいか下手かは関係なく、自分の歌唱を見た時だけ赤面したのだ。

赤面している間、最も活動を示した脳領域は小脳および視覚反応に関連のある領域だった。小脳は通常、動作に関連づけられるが、感情処理とも関係している。しかし、他人の精神状態を理解することに関連している脳領域の活動に目立った変化はなかった。「この結果に基づき、他人の思考について考えることは、赤面が起きる必須条件ではないと結論づけました」とニコリッチはいう。「赤面とは、自分自身に関係する何かがさらされた時に感じるautomatic arousal(自動的な覚醒)の一部なのかもしれません」

別の研究は、顔を赤らめるのは人間だけではないことが明らかにした。別の理由だが、ニワトリも赤面する。最近フランスの研究チームは、ニワトリが興奮した時やおびえた時に赤面したことを報告した。もしニワトリが歌を歌えたなら、おそらくカラオケも彼らを赤面させるのだろう。

forbes.com 原文

翻訳=高橋信夫

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