ベトナム戦争の前線で兵士の看護にあたった女性看護師を主人公とした小説である『The Women』は、2024年に発売された中で最も売れた本であり、6月8日までのデータで書籍版の売上は約83万部に達している。
マイクロソフト共同創業者のビル・ゲイツは、この小説を自身の「2024年夏に読むべき本」のリストで唯一のフィクション作品として紹介し、「信じられないほどの犠牲を払ってきたベトナム帰還兵は、もっと評価されてもいいはずだ。この本は、そんな彼らに贈られた美しいトリビュートとなっている」と語った。
現在63歳のハナは、これまで20冊以上の小説を世に送り出しており、代表作の『ナイチンゲール』は日本語を含む43カ国語に翻訳されたほか、女性同士の友情を描いた小説『Firefly Lane』は、ネットフリックスで『ファイアフライ通り』としてドラマ化された。
『The Women』に次ぐ売上を記録したのは、英紙インディペンデントが「第2のJ・K・ローリング」と評したファンタジー作家、サラ・J・マースの『House of Flame and Shadow』で約54万部が売れていた。
3位は『Book Lovers(邦題:本と私と恋人と)』や『People We Meet on Vacation(邦題:あなたとわたしの夏の旅)』などで知られるロマンス作家、エミリー・ヘンリーの新作『Funny Story』で約30万部が売れていた。
Circana BookScanがまとめた、2024年に出版された成人向けフィクション及びノンフィクションの書籍の売上トップ10は下記の通り(原題で表記、部数は6月8日までのデータ)。
1. 『The Women』クリスティン・ハナ(約83万部)
2. 『House of Flame and Shadow』サラ・J・マース(約54万部)
3. 『Funny Story』エミリー・ヘンリー(約30万部)
4. 『The Teacher』フリーダ・マクファデン(約29万部)
5. 『Bride』アリ・ヘーゼルウッド(約23万部)
6. 『Just For the Summer』アビー・ヒメネス(約23万部)
7. 『First Lie Wins』アシュリー・エルストン(約21万部)
8. 『The Anxious Generation』ジョナサン・ハイト(約19万部)
9. 『The Demon of Unrest』エリック・ラーソン(約16万部)
10.『You Like It Darker』スティーブン・キング(約15万部)
Circanaによると、今年の年初から6月1日までのプリント版書籍の合計売上部数は3億部で、前年同期比で190万部のマイナスだった。
フィクション本は今年のベストセラー上位10作のうちの8冊を占めており、2024年第1四半期の成人向けフィクションの売り上げは3.6%増加したとPublishers Weeklyは報じている。
一方、ノンフィクションの売り上げは前年同期比で5.8%減少した。上記のトップ10にランクインしたノンフィクション作品は、社会心理学者のジョナサン・ハイトが現代の青少年のメンタルヘルス問題に言及した『The Anxious Generation』と、歴史ノンフィクション作家であるエリック・ラーソンがエイブラハム・リンカーンをテーマとした『The Demon of Unrest』のみだ。
(forbes.com 原文)