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WilliamJu / Bigstock



預かり資産1.690億ドル(20兆円)の規模を誇る世界最大のヘッジファンド、ブリッジウォーター・アソシエイトを率いるレイ・ダリオは、先週、中国についての見解を変えた。投資家に対し「直近の中国株式市場の暴落は、中国には投資するべき安全な場所など存在しないことを示した」とするリポートを送付したのだ。

しかし、このコメントがウォール・ストリートジャーナル紙の一面を飾ると、同ファンドは、トーンダウンした内容の声明を発表。「見解を変えたことであまりに多くの事が起こり過ぎた」とした上で、「中国は債務と経済の再構築という難題に直面しているが、それに対応できる十分な資金があり有能な指導者がいる、との見方に変わりはない」と強調した。

混乱が生じているのは明らかだ。上海総合株価指数は27日に8.5%下落、1日の下げ幅としては2007年以来最大となった。多くのアナリストは「中国当局が積極的に株を買い支えないかもしれない」「少なくとも中国政府は株式市場がどの程度、自律反発できるのかを試してしている」などと、投資家が懸念したための下落とみている。
 
さらに、これまでトレーダーへの融資や大量の株式購入を行ってきた中国国営の中国証券金融(CSF)を批判するアナリストもいる。これに対し、中国の証券監視当局はCSFが市場への関与を止める予定はないとする一方、監視当局自らが「悪意」ある株の売り手を突き止めようとしているとした。

上海総合株価指数は6月以来、30%下落した。しかし、2015年で見ればまだ値上がりしている。28日、29日は上昇に転じ、年ベースでは17%と、米国市場よりも高い上昇率を保っている。なぜ2015年の中国市場はまだ上昇基調なのだろうか。それは多分に中国政府が、大株主に株売却を6カ月間にわたり禁じたり、株価下支えのため巨額の資金を投入したりといった市場安定化策を実施したためだ。ただ、その限定された効果に比べ、あまりに過剰な政策だった感じた向きもあるようだ。

「中国市場の今後を予想することは不可能な任務――ミッション・インポシブルだ」。スカイ・ブリッジキャピタルのトロイ・ゲイスキーはこう話す。同氏はヘッジファンドを中心に135億ドルのオルタナティブ投資を行っているが、「中国は合理的な計算からかけ離れた結果が出てくる市場の典型だ」という。

そもそも、なぜ中国株はこれほど値上がりしたのか? 中国経済にブームが到来して数年間も動きがなかったのに、長期的にみて最も低い成長にとどまったこの約半年で2.4倍に急騰している。伝説的なヘッジファンドの運営者、スタンリー・ドラッケンミラーは「中国がさらなる大幅な経済成長を遂げるという見方は曲がり角に来ている」と示唆している。

中国株ブームに沸いたここ数カ月間で確実に言えるのは、中国当局が投機的な不動産投資に強い姿勢で臨んでいるということだ。マカオのギャンブルに対しても取り締まりを強化している。過剰流動性が中国株の高騰につながり、株式市場はカジノのような様相を呈し始めた。ただ、資本規制を解除し、金融緩和を実施したのも中国の金融当局なのだが。

中国市場のメカニズムも重要だ。他の新興市場と同様、上海株式市場は上下10%の値幅制限を設けている。これにより、価格回復には数日の期間が必要となり、市場が一方向に大きく振れるパニック的な取引をもたらしやすい。言い換えれば、過度な変動を防ぐのを目的とした手段が、過度な変動を引き起こしているのだ。また、株式ブームは情報メディア、通信などの先端分野に限られ、食品や飲料など旧来の産業には起こっていないことも指摘しておきたい。

ゴールドマン・サックスは引き続き中国株の買いを推奨している。中国ストラテジストのキンガー・ラウは「金融緩和策と株式市場対策により、投資は利益を生み出すだろう」とした。一方、ポール・シンガーのように中国市場の先行きに懸念を表明する著名ヘッジファンドの運営者もいる。同氏は7月、「サブプライムよりも大変なことになる」と、2008年に米国を襲った不動産市場の暴落と金融危機を引き合いに出した。ただ、国際通貨基金(IMF)のラガルド専務理事は29日も依然として、中国当局による「通常の課程」の株式市場安定策を評価している。

文=ネイサン・バルディ / 翻訳編集=加藤雅之

 

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