迅速な配達を実現する鍵は、主要な住宅地の近くに設置するダークストアと呼ばれる配送拠点のネットワークにある。現状、ダークストアは売れ筋商品を6000点ほど在庫しているが、ゼプトは今後数カ月に1万点に増やしたいと考えだ。これらの配送拠点は、人通りの少ない場所にスペースを借りることでコストを低く抑えている。
もう1つの鍵はフルフィルメントで、受注から1分以内にピッキングから梱包・袋詰、発送までを完了する。その後、自転車やバイクに乗った配達員たちが注文を受け取り、交通状況をリアルタイムで表示する配送ルート最適化ツールを使用してユーザーに商品を届ける。倉庫から配送先までの平均距離は約1.5キロメートルで、配達時間は平均11分だ。
上位4社による寡占
インドの投資銀行JMフィナンシャルが2月に公開したレポートによると、同国のクイックコマース市場は、4社による寡占状態だという。断トツの首位は、フードデリバリー大手Zomato(ゾマト)が運営するブリンキットで、2023年の市場シェアは46%、年間の流通総額(GMV)は1420億ルピー(約2730億円)だった。2位はSwiggy(スウィギー)のインスタマートで、GMVは推定830億ルピー(約1595億円)、3位がゼプトでGMVは650億ルピー(約1250億円)となっている。4位は、タタ・グループ傘下のBigBasket(ビッグバスケット)が運営するBBnow(ビービーナウ)で、GMVは200億〜250億ルピー(約384億円~480億円)と推定されている。「クイックコマースの競争優位性の源泉は、プラットフォームの使いやすさや取引のしやすさといった、優れたユーザーエクスペリエンスにある。ゼプトは、これらを実現するためにテクノロジーに投資し続ける必要がある」と、グルガオンを拠点とするコンサルティング企業Technopakのアナリストは述べている。
パリチャも、テクノロジーの重要性を認めている。「我々は、商品の仕入れを決定する予測アルゴリズムや欠品を防ぐために自動在庫補充システムを使っている。その仕組によって、生鮮食品の廃棄量は業界最低水準となっている」と彼は言う。ゼプトはまた、収益性を高めるために高額商品を増強し、配送コストを削減している。
創業メンバーの2人は、長期戦に備えている。「やるべきことはまだ沢山あるが、まだまだ事業拡大の余地はある」とヴォーラは語った。
(forbes.com 原文)