経営・戦略

2024.07.30 15:00

「マカオのカジノ王の息子」のeスポーツ企業が上場、時価総額780億円

FIFAe Club World Cup 2023(Photo by Gonzalo Arroyo - FIFA/FIFA via Getty Images)

伝説的なマカオのカジノ王、故スタンレー・ホーの息子のマリオ・ホーが共同創業したeスポーツ会社、NIPグループは7月26日、米ナスダックに上場し時価総額は約5億600万ドル(約778億円)に達した。

ストックホルムに本拠を置くNIPグループの株価は、26日に公開価格の9ドルからほとんど変わらず、9.02ドルで取引を終えた。同社は、この上場で2000万ドル(約30億円)以上を調達した。NIPグループは、調達した資金を、企業買収やマーケティング活動、東南アジアや北米、中東、日本、韓国でのeスポーツチームの拡大に充当すると目論見書で述べている。

2021年に設立され、『マインクラフト』や『キャンディクラッシュ』など人気ゲームの発祥地であるスウェーデンに本社を置くNIPグループは、中国や欧州、ブラジルなどの125人のプロゲーマーを擁するeスポーツ企業だ。

同社は、中国のモバイルゲームに焦点を当てたEスターゲーミング、スウェーデンのコンソールおよびPCゲームに焦点を当てたニンジャズ・イン・パジャマズの2つのeスポーツチームを運営しており、『カウンターストライク』や『オナー・オブ・キングス(王者栄耀)』などの人気タイトルで競技を行っている。Eスターゲーミングは、2023年までに60のトーナメントで合計1090万ドル(約16億円)の賞金を獲得し、ニンジャズ・イン・パジャマズは57の大会で合計820万ドル(約12億円)を獲得している。

NIPグループの2023年の収益は、前年から27%増加し、8370万ドル(約128億円)に達したが、純損失は前年の620万ドル(約9億5540万円)から1330万ドル(約20億円)に拡大した。同社の収益の大部分は、3万6000人に及ぶ「オンラインエンターテイナー」のマネジメントによるものだ。

NIPグループは、スポンサーシップや広告、グッズのIP(知的財産)ライセンス手数料の増加によって、安定した収益成長を実現したと述べている。3月に同社は、世界最大級の電気自動車(EV)メーカーである中国のBYDとのパートナーシップを締結した。

目論見書によると同社は、eスポーツ教育やeスポーツホテルなどの事業の強化によって、収益源の多様化を図っている。NIPグループは、中国の12以上の教育機関にeスポーツトレーニングを提供しており、2025年までに国内の50の機関に拡大することを目指している。

マリオ・ホーはNIPグループの会長兼共同CEOとしてアジア事業を統括している。ホーは、以前はテンセントが支援するモバイルゲームのパブリッシャー、iDreamsky Technology Holdingsで最高マーケティング責任者を務めていた。

マサチューセッツ工科大学を卒業したホーは、2018年にゲーミング業界に参入し、23歳でNIPグループの前身の一つであるVictory 5 eスポーツクラブを深圳で設立した。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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