コロナ禍で大打撃を受けた観光事業も、円安を味方にインバウンド需要がだいぶ回復してきている印象だが、実際どうなのか日本観光推進総合研究所が「2024年度観光事業に関する自治体実態調査」を行い、その結果を公開している。
それによると、コロナ前を基準に昨年度の観光客数はどうなのかの質問に、「コロナ前より増えた」「コロナ前と同じくらいに戻った」を合わせると、51%とほぼ半数の自治体が回答。「コロナ前の約7割~9割」が43%を占めているので、かなり回復してきたと言えよう。
Go To トラベル事業や観光庁などにおける政府の補助事業に関して、もっとも活用したされたのが「パンフレットやマップの作成」で180件。「各種イベントの開催」が142件、「旅行商品や体験プログラムなどの造成」が139件と続いた。一方で、活用していないが検討したものとしては、「インバウンドの整備」が112件で最も多く、「地域のブランディング」が109件、「機材の整備(決済システムや翻訳機など)」が108件となっている。
補助事業を活用しなかった理由としては、「予算不足」「自治体の独自予算やその他の予算を活用」「人材不足」がほぼ横並びとなった。
次にインバウンドへの対応について、多言語化の実施状況と対応言語は、英語が圧倒的に多く、続いて中国語、韓国語の順になっている。やはり訪日外国人旅行者の多い国や地域を意識した結果だ。
機械翻訳の活用状況については、「活用する予定はない」が56%と半数以上を占め、意外と機械に頼らない自治体が多いことがわかった。「人による翻訳が望ましい」が33%、「完璧ではない以上機械翻訳は控えたい」が8%もいるなど、間違いを気にするあまり、機械には頼らない傾向にあるようだ。
情報発信に関して、運用するSNSは「Instagram」「Facebook」「X」の順で、若者がなんでもInstagramで検索する傾向にあることを意識してなのか、Instagramが頭一つ抜き出ていた。
最後に観光DXへの取り組みについて、「取り組んでいる」「取り組む予定」合わせて25%と全体の1/4程度しか取り組んでいなかった。取り組めない利用としては、「予算不足」「人材不足」の2つがダントツで、「何をしていいのかわからない」とまだまだ理解が足りていない自治体も多いようだ。
これらの回答から、コロナ禍からの回復はだいぶ戻ってきているが、予算不足や人材不足で思うように進められない歯がゆさを感じている自治体が多いようだ。もっと積極的にITの力を借りることで、課題解決が容易となり、観光事業の発展につながるはず。意識改革をしてコロナ前以上の発展を目指してほしい。
出典:日本観光推進総合研究所が「2024年度観光事業に関する自治体実態調査」より