テクノロジー

2024.08.01 09:15

日本はハッカーにとって無法地帯? 医療現場をサイバーテロから守るネクストユニコーン

左 技術顧問の和田氏、右 原代表

左 技術顧問の和田氏、右 原代表

昨今、全てのモノがネットに繋がる時代、サイバーテロの問題が急増している。特筆すべきは、ハッキング技術を持つハッカーのみがその事件に関与しているわけではなく、10代の学生がゲーム感覚で企業のログイン情報を探し当て、それをダークウェブで販売して報酬を得るといった事件も世界的に多発している。7月初旬、KADOKAWAもサイバーアタックにあい、身代金として4.7億円を支払ったとのニュースが報道されており、企業、そして我が国のサイバーセキュリティーの強化が重要視されている。

今回の取材相手はMTU株式会社の代表を務め、医療xサイバーセキュリティー領域で事業を展開する原 拓也代表取締役社長と同社の技術顧問でありコインチェック株式会社創業者の和田 晃一良氏だ。

*ダークウェブ:違法性の高い情報や物品・コンテンツが取引されています

多くの医療機関はセキュリティー対策が万全ではない

原社長は慶應義塾大学を卒業後、ジョンソン・エンド・ジョンソンに入社。入社してわずか数年でトップセールスとして日本営業表彰をされた。癌家系で生まれた原社長は幼少期から、いつか医療関係の仕事に従事したいという強い思いがあり、起業する。医者と患者を繋ぐメディアプラットフォームは約3.6億円で事業売却。2度のエグジット経験を経てして立ち上げたのが、MTU株式会社である。

人類の健康寿命を伸ばしたい、その思いで見つけた医療業界の課題が、サイバーセキュリティーである。2023年4月より医療法施行規制改正でサイバーセキュリティー対策が義務されたが、多くの医療機関が万全なセキュリティー対策を講じているとは言えない。

医療従事者からしたら、日々の医療業務に追われ、それどころではないということ、医療機関にはITの技術者が限られ、誰に頼っていいのかわからない状態であることが現在の我が国の医療機関におけるサイバーセキュリティーの欠落の要因ともいえる。

またサイバーアタックを受けて医療機関に被害が起きてからでは、我が国の警察では対応仕切れないことも事実である。日本の医療はサイバーテロリストにとって無法地帯といっても過言ではない。

医療現場を24時間支えるMowl(マウル)

MTU株式会社が独自に開発した、医療業界に特化したサイバーセキュリティーサービス、”マウル”は電子カルテやクラウド上に格納されている医療データをセキュリティー保護するためのSaaSツールである。医療従事者が安心して医療現場に携われるように、そしてノンテックの医療機関でも簡単に導入できる仕組みを開発した。

Mowlを導入するクリニックの参考画像 戸村氏AI作成

Mowlを導入するクリニックの参考画像 戸村氏AI作成

次ページ > 日本の医療機関はサイバーテロリストにとって無法地帯

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事