北米

2024.07.29 09:00

カマラ・ハリスとウォール街、「過去の対立」にも関わらず支持する人々

銀行関連のこれまでの取り組みがそれほどないことから、選挙に勝った場合、ハリスの金融政策がどのようなものになるかは不明だが、トランプの方が金融企業に対してはるかに友好的な政策を取り、そのため金融企業の株価を押し上げるとアナリストらは予想している。

実際、ジョナサン・ゴルブ率いるUBSのストラテジストのチームは、「トランプが大統領選に勝利した場合、最も恩恵を受けるはずのグループ」は金融部門だとしている。それは、トランプがウォール街から「負担の大きい規制」を撤廃すると約束しているからだ。規制撤廃が実現すれば、投資銀行が利益で大きく頼っているディールメーキングの再開を特に後押しするはずだ。

ジョー・バイデン政権になって買収・合併(M&A)や新規株式公開(IPO)は小康状態に入ったが、これは2023年に検察当局による企業合併の調査が過去最多となるなど、同政権下で大きな法的問題が生じたことにより企業が消極的になったためだ。マイケル・ウィルソン率いるモルガン・スタンレーのストラテジストチームも同様に、トランプが再選した場合の勝者の筆頭に銀行株を挙げており、金融部門はトランプ勝利の可能性が高まるにつれてしばしば上昇している。

ディールメーキングの不振は、政府が関与しないところで金利が上昇した結果でもある。金利は2022年から急上昇した。そして昨年、カリフォルニアを拠点とするファースト・リパブリック・バンクとシリコンバレー・バンクの経営が行き詰まり、米国史上2番目と3番目に大きな銀行破綻となった。

金融企業は規制緩和を諸手を挙げて歓迎するだろうが、株式市場のパフォーマンスは、トランプ政権時代よりもバイデン政権下での方がこれまでのところはるかに良い。S&P500の金融部門は、2016年の大統領選の投票日から2020年の投票日までの間に24%上昇したが、2020年の投票日以降は75%上昇している。2016年のトランプ勝利直後に金融部門は11%上昇した。
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敵か味方か? 「ハリス米大統領」誕生が大手テックに与える影響

forbes.com 原文

翻訳=溝口慈子

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