北米

2024.07.28 11:00

米ゲーム声優ら、AI対策求めスト突入 背景に業界のコスト構造の変化

対象企業の顔ぶれこそ昨年ハリウッドを機能不全に陥れた半年間に及ぶストとは多少異なるかもしれないが、争点となっているのは、AIの使用方法をどのようにコントロールするかというおなじみの問題だ。しかも今回は、ゲームに登場するキャラクターの声の作成方法が対象であり、問題はより厄介といえる。実在する声優の声が、簡単に入手できるAIツールで複製可能であり、本人の関与が一切なくても大量に生成できてしまう現実を考えると、この問題は声優という芸術的職業に壊滅的な打撃を与えかねない。

また、ゲーム制作ではキャラクターをデザインする際、モーションキャプチャーを使って俳優やスタントパフォーマーの動きを計測し、デジタル骨格を作成することも多い。

ストは、19カ月にわたる交渉と、ゲームアワードやカンファレンスなどの業界イベントでの組合員によるビラ配りやピケを通じた情報提供の末に決行された。SAG-AFTRAによると、昨年9月に1年間の交渉の末にストを行う方針が組合員98.23%の賛成で承認されていたという。

SAG-AFTRAのフラン・ドレシャー代表は、「組合員に不利益をもたらすAIの乱用を企業に容認する内容の契約に同意するつもりはない。もう十分だ。組合員が生活し、働いていける内容の協約を、企業側が真剣に提示する気になったら、われわれは席に着き交渉に応じる」と述べた。

昨年のハリウッドのスト時のスタジオ契約と同様に、ゲーム会社が組合に加入しているパフォーマーをプロジェクトに起用したい場合は、SAG-AFTRAが提案する「組合員にとって不可欠なAI保護」を含む3つの暫定的なインタラクティブメディア協約のいずれかを締結しなければならない。
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翻訳・編集=荻原藤緒

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