テクノロジー

2024.07.27 11:00

敵か味方か? 「ハリス米大統領」誕生が大手テックに与える影響

lev radin / Shutterstock.com

ジョー・バイデン米大統領は21日に大統領選から撤退し、カマラ・ハリス副大統領を民主党の大統領選候補として支持すると表明した。

ハリスはサンフランシスコ市郡地方検事、カリフォルニア州司法長官、カリフォルニア州選出連邦上院議員を歴任し、シリコンバレーではよく知られた存在だ。そうした役職の在任中に、ハリスはよくシリコンバレーを訪れて経営者らと会い、テック業界の長年の友人となった。

バイデンに代わって民主党の最有力の大統領候補となった今、テック業界のリーダーたちは、ハリスが大統領となった場合、自分たちや業界全体にどのような影響がおよぶかを精査している。

テック業界の経営者らとの太いパイプに加え、ハリスはテクノロジーをしっかりと把握し、米国と世界におけるテクノロジーの役割を理解している。

バイデンは昨年、ハリスを人工知能(AI)タスクフォースのトップに任命した。同年5月には、ハリスは責任あるAIイノベーションの推進について主要テック企業の最高経営責任者(CEO)らと協議した

AIには大きな可能性があるが、深刻な負の面もある。近い将来、AIはおそらく最も重要なテクノロジーとなり、さまざまな形の規制が求められるだろう。バイデンはすでにAIに関する大統領令を出して先手を打っておりとりわけ人権とアルゴリズムの公平性を重視している。

ハリスはこの大統領令の作成に関与している。そのためハリス政権が誕生すればその原則を遵守し、AIが正しく活用され、すべての人にとって安全なものにするために必要な法律を作るよう、議会の指導者たちに強く働きかけるだろう。

AI以外にも、他部門の企業の規制や独占禁止、プライバシー、犯罪者からの子どもの保護など、テック関連の問題が山積している。

テクノロジーを理解し、今後数年間でテック大手と友好的になれる人物が大統領になれば、シリコンバレーの経営者らは恩恵を受けるかもしれない。

ハリスが大統領になった場合に注目すべき点の1つは、米司法省と米連邦取引委員会で現在進められているテック企業の反トラスト法違反の事案の取り扱いを変更するかどうかだ。

もしハリスが司法省と連邦取引委員会の方向性を変更すれば驚きだ。というのも、ハリスは副大統領としてこれらの事案を近くで見ており、反対するそぶりを見せていないからだ。
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翻訳=溝口慈子

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