世界中の研究論文や特許情報を保有し、技術の関連性などを可視化するシステムを開発するMEMORY LAB。情報収集や分析にかかる時間を大幅に削減し、研究開発を加速させることができる。
創業者である畑瀬研斗は高校時代、野球選手としてプロを夢見ていたが自分の意思とは違った動きをしてしまう「イップス」を発症。未解明のメカニズムが「脳」に興味をもつきっかけとなった。
夢破れ、進路に悩んでいた畑瀬が出会ったのが、今も師として仰ぐ脳神経科学者の青砥瑞人だった。はじめは青砥の下でインターンを希望したがかなわず、それでも彼のもとで学びたいとオフィスの掃除係として働いた。その後、ニューヨーク州立大学オルバニー校で脳神経科学を学び、アルツハイマー病の研究に取り組んでいたが、「治療法を開発するには医学的な研究だけでなく、脳の活動を測るための量子力学や心理学などあらゆるアプローチが必要」と実感。そうした経験から「社会課題の解決を目指す研究者が、他領域の先端研究にアクセスし、協業できるエコシステムが必要だと感じ、起業しました」。
研究者が人生をかけて生み出す論文・特許を、「宝の山」だと言う畑瀬。その宝を「Memory AI」に集約し、公開している。「MEMORY. LABを世界の『知』のハブにし、新しい知を生み出していきたい」。その先には、アルツハイマー病をはじめとする多くの課題が解決される未来が訪れると信じている。
はたせ・けんと◎1997年佐賀県生まれ。高校を卒業後渡米。米国のニューヨーク州立大学オルバニー校にて脳神経科学と心理学専攻を修了。理化学研究所客員研究員を経て、慶應義塾大学研究員を兼任。2021年にMEMORY LABを設立。
スーツ247000円/ラルディーニ(トヨダトレーディング プレスルームTel:03-5350-5567)※Tシャツ・チーフは、スタイリスト私物。