夜空に浮かぶキャラクターや企業ロゴ。ドローンショーに魅せられた起業家・佐々木が見いだす新たな空の使い方とは。
LEDライトを搭載したいくつものドローンが飛行し、大空に壮大なアニメーションを描く。佐々木孔明は早くからこのドローンショーの可能性に気づき、ドローン保有台数や500機以上の大型案件開催数などで日本一のドローンショー企業をつくり上げた。創業したレッドクリフは2期連続で売り上げ2倍以上成長し、今年の売上高は10億円を超える見込みだ。
大学で建築家を目指していた佐々木は「社会に出る前に建築以外の経験を」と、ドローンを携え世界中を旅した。日本ではめずらしかったドローンが、多くの海外観光地で飛び交っていたという。撮影以外にも救助や農業、輸送など多用途に使われていることを知り、「この波に乗るなら今しかない」と大学を退学し、起業を決意。
起業当初はひとりでドローンの空撮を行っていたが、観光で訪れたドバイで毎日ドローンショーが開催されているのを目にし、エンターテインメントと広告媒体としての可能性に気づいた。日本でもドローンショーを行う企業はあったが、佐々木はストーリー性のある動きを追求。現在3000機を保有し、日本コカ・コーラのクリスマストラックツアーで日本最大の1225機のショーを成功させるなど自らの記録を塗り替え続ける。横浜開港祭ドローンショーには50万人が集まったが、10km先からも見えるショーの“観客”はその数を超えるだろう。
ドローンで協賛企業のロゴや二次元コードを空に描く新しい広告手法を導入。ショーはSNSで二次拡散されやすく、協賛も集まりやすいためいくつもの花火大会を存続の危機から救った。佐々木はドローンショーを市場規模1.6兆円のプロモーションメディア市場の一部ととらえ、ドローンが当たり前に広告塔となる未来を目指す。
さらに「経験豊富な3DCGアニメーターや演出家との連携により、弊社のアニメーションクオリティは高く評価されている」とアニメーションデータのみを海外展開する日本初のビジネスモデルも構築中だ。
2026年のIPOを目指すレッドクリフ。諸葛孔明にあやかった名の通り、令和の孔明がその先見の明と策略で世界中の空をともす日は近い。
ささき・こうめい◎1994年、秋田県生まれ。関東学院大学建築・環境学部へ進学。在学中にドローンと世界一周の旅に出る。帰国後、大学を中退しドローン世界最大手DJIの日本1号店に勤務。2019年レッドクリフを設立し、21年より日本最大規模のドローンショーの企画運営を開始。
ブルゾン45100円/ギ ローバー、タートルネックセーター61600円/ドルモア(ともにバインド ピーアールTel:03-6416-0441)パンツ53900円/ピーティー トリノ(PT JAPAN Tel:03-5485-0058)※ベルトは、スタイリスト私物。