ドラマシリーズ「SHOGUN 将軍」で、海外での撮影に挑んだ穂志もえか。一躍世界の注目を浴びる存在となった彼女の、次のチャレンジとは。
軽やかな金色のベリーショートに新たな挑戦への意志を感じる。「SHOGUN将軍」(2024年)で世界的に注目される俳優・穂志もえか。片手に赤ん坊を抱え、自らの喉に小刀をつきつける印象的な登場シーンは、実はハリウッドの洗礼を受けた彼女自身の姿を映していたようだ。
「スタッフとのコミュニケーションミスで撮影直前にかつらを直す必要があったんです。セットに走って入り、はいと赤ちゃんを渡されて『え? カメラ回ってる?』という切迫した状況で演じなければならなかった。集中していたのでなんとかなったんだと思います」
"Shogun" character signs / Getty Images
ハリウッドのスタジオ、FX製作の本作は、ディズニープラス(北米ではHulu)で、配信開始後6日間で全世界900万回再生を記録し、歴代1位となった。バンクーバーでの8カ月に及ぶ撮影は、仕事に人生にも大きな影響を与えたという。
「行く前は不安で泣いていましたが、帰るときは帰りたくなくて泣きました(笑)。私は相手に気を使いすぎる性格で、仕事でも『言えないな』『察してほしいな』と思うことがこれまでは多かった。でもそれって無責任だと気づいたんです。黙っているとOKだと思われてしまう。自分の意志を伝えることの大切さを学んだし、自分を大切にする“Self Love”の真の意味が、今わかってきたような気がします」
4歳からバレエを習い大学卒業後、俳優に。俳優として順調にキャリアを積みながらも、周りの目を気にするあまり自分がわからなくなっていた時期もあった。
「特にここ1年は母を亡くしたこともありプライベートでもとてもしんどかったんです。でも『SHOGUN将軍』での経験もあり『ここでいったん自分を試してみよう!』と思って」
今春、事務所を辞めてフリーになり自ら米国に足を運んで、海外拠点のエージェントを見つけた。
「多様性重視のハリウッドで日本人俳優が求められる機会は増えている。競争率も高いけどトライしがいはあります。英語が流ちょうじゃなくても、日本で知名度があるかどうかも関係ない。自分がやるべきだと信じたことをやろうと模索中です」
ほし・もえか◎1995年、千葉県生まれ。上智大学在学中にデビューし、卒業後俳優に専念。『少女邂逅』『街の上で』『窓辺にて』など映画やドラマで活躍し、24年に時代劇ドラマ「SHOGUN 将軍」に藤役で出演。同作は今年度のエミー賞最多ノミネートを獲得した。
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