自ら集めたクリエイティブクルーたちと、楽曲からMVまでを制作するa子。細部までこだわり抜かれた世界観で世界のリスナーを魅了している。
3月は米国、6月は台湾と韓国にて、a子は現地の人たちに大歓迎された。米国では音楽、映画、インタラクティブがテーマの世界最大級のイベント「SXSW」内で、日本人アーティストとして最多の3ステージに出演した。
兵庫県で生まれ、学生のころは毎日のように近所のレコードショップへ通い、店主からザ・ビートルズ、ソフト・マシーン、エリック・クラプトンなどたくさんの音楽を教えてもらった。トレードマークの赤い髪はデヴィット・ボウイへの憧れからだ。
アーティストを志して上京してからは、仲間を見つけるためにセッションバーをわたり歩いた。バンドメンバー、カメラマン、3Dアーティスト、ヘアメイクアーティスト、スタイリストなどに声をかけて、クリエイティブクルー「londog」を結成。「a子のやりたいことを支えてくれるメンバー。昔は自分の価値を見いだせていなかったけど、みんなと出会ってやっと見つけることができました。お互いに高め合って成長していくことが目標です」。そう語る彼女は、メジャーデビュー後も変わらずlondogの仲間たちと制作を手がけ、国境を越える楽曲や映像をつくり出すことに成功している。
米国に行った際、a子のウィスパーボイスが「アニメ声」として受け取られていることを知った。さらに『攻殻機動隊』『AKIRA』『ドラゴンボール』などのアニメを愛するa子の感性は、世界に出れば日本らしいオリジナリティとして映る。ファッションは、世界的スターたちが来日した際に立ち寄るセレクトショップで揃えている。最初から海外を狙ったわけではなく、自分のルーツにうそをつかず、理想を高く掲げ、仲間たちと創作を重ねていたらいつのまにか各国の人から声援をもらうようになった。
今、a子が音楽活動を続ける理由は世界中の人の心へと向いている。「自分が悲しい気持ちになると『これが80億人分あるってこと?』って考えちゃうんですよね。歌詞には希望を少しだけキュッと入れているので、音楽を聴いた人が優しい気持ちになれたり、ポジティブになったりするとうれしいです。嫌な気持ちを背負っている人を1人でも減らせたらいいな」
えーこ◎2020年に本格的にアーティスト活動を開始。24年2月に「惑星」にてポニーキャニオン/IRORI Recordsからメジャーデビュー。 同年7月に1st Album『GENE』をリリース、8月には「a子 Live Tour 2024 “Umbilical Cord”」を東京、大阪で開催した。