そう、答えは意外にシンプルなのかもしれない。LANAはいつも等身大のそのままを私たちに見せてくれている。そこで語っていることも、いつだって一貫している。自分がどのように見られるかという戦略的なことよりも、いかに嘘なくリアルな自分を見せられるか。難しく考えすぎずに、すべてをさらけだすか──。それは、昔から母親と本音でぶつかり合い、時に仲たがいまでしていた彼女だからこそ持ち合わせているアイデンティティだ。今では、その個性をチーム力にまで高めて指揮できるようになった。ラナチーズは今後、世界に広がっていくに違いない。
ますます大きくなっていくLANAを見ていると、感慨深いものがあるのでは? と母親に聞いてみた。すると、「そうですね、でも──」と告げ、娘に次のような言葉を投げかけたのだ。「どれだけLANAという存在が大きくなったとしても、『ありがとう』『おかげさまで』という気持ちを忘れないようにしてほしいです。上るということは、下りるときも絶対にくる。そのとき、自分が恥ずかしいと思わないよう、そのために感謝の気持ちを忘れないようにしてほしい」。
LANAの音楽が、多くの人の心を動かしている秘密がわかった気がした。ファンは今日も、彼女の嘘のない等身大のリアルな言動に、人生を楽しむための生きる力をもらっている。
LANA◎神奈川県・湘南生まれ。2020年より音楽共有プラットフォームに楽曲をアップロードしはじめ、22年に本格的にリリースを開始。24年にはEP『19.5』、シングル「MY LIFE」、兄LEXとのコラボ楽曲「明るい部屋」「ティファニーで朝食を」もリリース。