ファンもチーム、その名は「ラナチーズ」
ある日、LANAが突然インスタライブで話し始めた。そこでは自分の最近の恋愛について赤裸々に打ち明けるようなトークが展開され、視聴者からの質問コメントを読み上げ次々に答えていく姿も。そういった姿勢はデビュー当初から変わっておらず、その親近感に多くのファンが共感し心を開いている。さらに、一部のファンからは、SNSでDMが来ることもある。DMのほとんどは、悩み相談。親や友達とうまくいかない、恋愛で苦しんでいる──等々。LANA自身が昔悩んでいたことと同じような内容が多く、まるで昔の自分を見ているかのよう。だからこそ、彼女たちの気持ちが痛いほどわかるという。「私はファンのみんなに素を見せすぎてると思う(笑)。でも、そういうふうに全部そのままを出しているところが共感されてるのかもね」
家族も、LANAの飾らなさに対しては驚きを隠せない。姉のLiLiは「ファンとは距離ゼロ(笑)。あそこまで近いのはすごいですよね」と語る。
そもそもLANAにとってみたら、ファンのみんなも含めての「チーム」だそうだ。スタッフも、家族も、ファンの子たちも、全員がLANAのチーム。それに名前を付けてみたらどういうチーム名になる? と尋ねてみると、面白い答えが返ってきた。
「うーん……ラナチーズ(笑)。皆が仲間だから、意味としてはチームなんだけど、それだとちょっと堅いでしょ? だから、チーズ。ギャルっぽいバイブスを入れたくて。ラナチーズ、かわいいでしょ?(笑)」
屈託のない彼女の笑顔につられて、その場が大きな笑いと温かさに包まれた。ラナチーズは、こうやって多くのポジティブなバイブスを、さらに大きな輪を広げていくのだろう。
実際、その輪はとどまることを知らない。Awichに誘われて出演した、今年4月のコーチェラでの経験はかけがえのないものになったそうだ。配信も合わせると、世界最大の視聴者数ともいわれる巨大コンテンツであるコーチェラ。現地では、すさまじい体験をした。アーティストに対する視線がシビアで、本物のパフォーマンスをしたときにだけ熱量がぶわっと高まる。真の意味でスキルが試されているような感覚があり、もはやその鋭い視線に負けてしまいそうになったという。
「緊張とかそういう次元じゃなかった。日本とはまったく違ったし、めちゃくちゃ学びが多かったです。これをもち帰って、次に生かしていきたいですね」
コーチェラから帰国後、彼女は国内最大のヒップホップフェス「POP YOURS」で会場を大いに沸かせていた。そこで展開されたのは、さながら世界的ポップスターのようなコンセプチュアルなショー。客席からは、今この瞬間をとらえようとする無数のスマホが掲げられる。悲鳴にも似た歓声が止まらない。海外公演を経て、明らかにパワーアップしたステージが繰り広げられていた。