働き方

2024.07.28 09:00

世界の流れに逆行、ギリシャの「週6日勤務制」導入が意味するもの

Shutterstock.com

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ギリシャは特定の産業で週6日勤務を認める法律を施行した。勤務日数を減らす方向に向かっている世界の流れから逸脱した動きだ。

「法律5053/2023」として知られる同国のこの新法は、一部の例外を除き、工業・製造業あるいは1日24時間、週7日稼動している企業に適用される。人口減少や熟練労働者の不足、未申告の労働などの問題に対処するための措置で、従業員は勤務6日目に8時間を超えて働くことはできず、6日目の勤務には日給に加えて40%の時間外手当を支払わなければならないと定めている。

生産性と所得を向上させようという政府の意図とは裏腹に、週6日勤務制の導入は労働者の権利を損ない、すでに抱えている経済的苦境を悪化させると主張する労働組合や労働者からの激しい批判と抗議にあっている。

経済協力開発機構(OECD)のデータでは、ギリシャの労働時間はすでに米国、英国、欧州連合(EU)各国より長いことが示されている。ギリシャの労働者の平均労働時間はEUの労働者より年300時間以上多い。

キリアコス・ミツォタキス首相率いるギリシャ政府は「人口減少と熟練労働者不足という2つの危機」に対処するため、週6日勤務制が必要だと述べたと英紙ガーディアンは報じている。加えて、労働省の6月下旬の発表では、「未申告労働がまかり通っている」事態に対処し、労働者の収入を増やすことも重要な使命としている。

同国のニキ・ケラメウス労働・社会保障相によると、週6日勤務制は「限られた状況」での「例外的措置」としてのみ適用されるという。毎日操業していない企業の場合、「勤務日の追加は業務量が増加した場合にのみ認められる」とケラメウスは述べた。

サムスンの週6日勤務

韓国を拠点とする多国籍企業グループのサムスンも、勤務日を減らす流れに逆らっている。経営を取り巻く不確実性と不本意な業績に対処するための緊急措置の一環として、最近、幹部を対象に週6日勤務を導入した。

さまざまな部門の幹部に適用されるこの措置は、競争が激化し、借入コストの上昇や原油価格の高騰、ウォン安といった経済的に厳しい状況にある中で、幹部らに危機感を植え付け、生産性を高めることを目的としている。半導体事業の大幅な赤字と純利益の大幅減という、同社にとって過去10年以上で最悪の業績を受けてのものだ。
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翻訳=溝口慈子

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