働き方

2024.07.28 09:00

世界の流れに逆行、ギリシャの「週6日勤務制」導入が意味するもの

Shutterstock.com

サムスンのこの動きは、週4日勤務制を採用する世界的な流れに逆行している。アイスランドやニュージーランド、日本、ベルギー、スコットランドなどの国・地域が、勤務日数を減らす制度の導入を試験的に実施したり採用したりしている。
advertisement

これらの実験では、従業員の福利厚生や生産性、ワークライフバランスが改善されるなど、おおむね良好な結果が得られている。例えば、アイスランドでの試験は大成功で、生産性を落とすことなく勤務日数減の普及につながった。試験結果では、勤務日数を減らすことが従業員の意欲と熱意を高め、ストレスと燃え尽き症候群(バーンアウト)を減らし、全体的な健康状態を改善することが示されている。

週6日勤務制は普及するか

履歴書作成サービスを提供するResume Builder(レジュメ・ビルダー)が経営者を対象に4月に実施した調査では、9%が2025年に週6日勤務制を導入する予定だと回答している。また、6人に1人は従業員は週40時間以上働くべきだと考えており、大半が週6日勤務制は収益と生産性を高めると答えている。

「週6日勤務制の導入を検討している企業は、国際的な大企業や世界的な規模で事業を展開している企業に多い」とレジュメ・ビルダーでチーフ・キャリア・アドバイザーを務めるステイシー・ハラーはレポートで述べている。「このモデルでは、勤務日が1日増えることで国やタイムゾーンの異なる従業員の労働時間がより多く重なるため、各地にいる従業員で構成されるチーム内のコミュニケーションや調整がより円滑になる。加えて、勤務日を増やすことで、従業員を追加で採用しなくてもよくなるかもしれない」とも指摘する。

ただし、週6日勤務制の導入で、短期的には企業の収益と生産性は向上するかもしれないが、長期的には組織にとって有害である可能性がある。
advertisement

「週6日勤務制の導入には、ワークライフバランスの悪化や燃え尽き症候群の増加、離職率の上昇など、従業員にとって重大なリスクがともなうことを認識することが重要だ」とハラーは解説する。「どの企業も、特にフルタイムの従業員を対象に、従業員のニーズや希望を満たすために勤務日を短縮するのではなく、増加を検討するのは驚くべきことだ」とも指摘している。

forbes.com 原文

翻訳=溝口慈子

タグ:

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事