マスクは、トランプが大統領に返り咲いた場合にバイデン政権のEV補助金を終了させ、それがテスラの業績に悪影響を及ぼすことを認めている。彼はまた、トランプがメキシコで製造された車の輸入関税を引き上げると発言したため、メキシコでの新工場の建設を「現在は中止している」ことを明らかにした。
トランプ政権による補助金の打ち切りの影響について尋ねられたマスクは、「私の考えでは、当社にも多少の影響が及ぶかもしれないが、当社の競合のほうがもっと壊滅的な打撃を受けるはずだ。テスラが受ける打撃は軽微なもだ」と決算発表で述べていた。
テスラの株価はその翌日に約12%下落し、216ドルに沈んだ。
マスクの会社が直面するリスクは、購入者に対する7500ドル(約114万円)の税額控除の廃止やバッテリー工場のためのインセンティブの廃止よりもはるかに大きい。バイデン政権は、マスクがかつてテスラの目標に掲げた、化石燃料からの脱却を後押してきたが、マスクが気候変動に懐疑的なトランプの支持を公言したことで、より多くの消費者がテスラを敬遠する可能性がある。
「イーロンは、現時点でテスラにとって最善のことを考えていない」と、ロサンゼルスに拠点を置く資産運用会社ガーバー・カワサキのCEOで、かつてはマスクの大ファンだったロス・ガーバーは述べた。
「カリフォルニアでのテスラの売上は、そのために大幅に減少している。カリフォルニアはテスラにとって最大の市場であり、世界で最大の自動車市場の一つでもある。カリフォルニアで購入される車の約25%が今やEVだ。ブランドのダメージを考えると、もう修復不可能だ」と彼は述べている。
民主党支持者の離反
今年上半期の世界全体のテスラの販売台数は5%減の約44万4000台だったが、カリフォルニアでは17%減少し、同期間の販売台数は約10万2000台だったと、カリフォルニア新車ディーラー協会は今月報告した。テスラの総販売台数の23%を占めるカリフォルニア州は、世界最大のEV市場である中国と並ぶトップ市場だ。そして、米国において最もEVを購入する可能性が高いのが民主党支持者たちだ。
「民主党支持者は圧倒的にEVに対して好意的な意見を持っており、EVを嫌うと主張するのはわずか5%だ。これに対して共和党支持者の39%はEVを嫌う」と、市場調査会社エドマンズの主任アナリストを務めるジェシカ・コールドウェルは、同社が収集したデータを引用して述べた。
「イーロン・マスクのトランプへの公然たる支持は、EV購入者である可能性が高い民主党寄りの消費者を遠のける可能性があり、テスラの収益に重大な脅威を与える可能性がある」と彼は語った。