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2024.07.26 10:30

【米国株ウォッチ】モトローラ・ソリューションズ、好調な無線機事業がQ2決算を牽引か

Zawrzel/NurPhoto via Getty Images

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モトローラが2011年に携帯端末事業とその他の事業を分社化した際に誕生したモトローラ・ソリューションズ(ティッカーシンボル:MSI)は、主に警察などが使用する陸上移動無線(LMR)分野の最大手だ。同社の株価は年初来で25%上昇している。同業であるエリクソン株の同期間における上昇率がわずか約4%であることと比較すると、その上昇率は高い。

モトローラ・ソリューションズ(以下、モトローラ)は8月上旬に2024年第2四半期の業績を発表する予定だ。私たちの予想では、今期の同社の収益は前年同期比約8%増の26億ドル(約3968億円)となり、市場予想をわずかに上回ると考えている。EPS(1株当たりの純利益)は市場予想と同じ約3ドルとなり、前年同期の2.65ドルから増加する可能性が高いと予想している。

直近の決算動向

同社の2024年第1四半期の業績は予想を上回り、LMR事業と入退室管理およびビデオ・セキュリティ関連製品の需要の増加に牽引され、収益は前年同期比約10%増の24億ドル(約3664億円)となった。ソフトウェアおよびサービス部門の収益は、ビデオおよびコマンドセンター関連製品の成長に牽引され、4%拡大した。営業利益率も上昇傾向にあり、より良好な収益構成と収益基盤の向上などにより、調整後の営業利益率は26.7%と、前年と比べ2.2ポイント改善した。

同社は前四半期中に通期のガイダンスも上方修正し、収益は約7%増、EPSは12.98ドルから13.08ドルの範囲になるとの見通しを示した。こうした傾向は第2四半期も続くと予想され、同社はAPX NEXTなどのLMR製品の普及を見込むほか、業務用無線機のラインナップを一新したことで、より強い需要が見込まれる。

株価パフォーマンス

MSIは、2021年1月初旬につけた170ドルから、現在の390ドル前後の水準まで、約130%という極めて力強い上昇を見せている。過去3年間のリターンを見ると、2021年は60%、2022年はマイナス5%、2023年は21%だった。これに対しS&P500種株価指数のリターンは、2021年に27%、2022年にマイナス19%、2023年に24%であり、MSIのリターンは2023年にS&P500を下回った。

結論

この銘柄を検討する理由はいくつかある。モトローラの主力であるLMR製品は、一度システムを購入すれば乗り換えされにくく、ある種のキャッシュカウ(金のなる木)と言える。さらに、景気後退期であっても、主要顧客である政府が公共安全関連予算を大幅に縮小することはない。そうした背景からモトローラのキャッシュ創出能力は拡大を続けており、株主配当は1株当たり3.90ドルを超えた。

収益の見通しも改善している。第1四半期の受注残高は、前年同期比2%増の144億ドル(約2兆1982億円)となり、過去最高を記録した。また、同社はLMR事業から得たキャッシュを公共セキュリティ分野の戦略的買収のための資金に充てている。ここ数年、同社はビデオ・セキュリティやコマンドセンター向けソフトウェアなどの分野に進出している。7月初めには、クラウドベースのリスクマネジメント関連ソフトを提供するNoggin(ノギン)を買収したと発表した。

しかしその一方で、現在MSIは予想利益の約30倍で取引されており、これは現在の市場環境や同社の過去平均と比べて見ても高い水準にある。私たちはMSIの目標株価を、現在の株価より約13%低い340ドルと評価している。

forbes.com原文

翻訳=江津拓哉

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