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宇宙

2024.07.26 09:30

450トンのISSを太平洋へ落とす、推力4倍のドラゴンをスペースXが開発

(c)SpaceX

ISS(国際宇宙ステーション)が廃棄される日が刻々と近づいている。総質量450トンのISSを太平洋に落とすには、強力なエンジンを持つ宇宙船が必要だが、NASA(米航空宇宙局)は6月26日、その機体の開発業者としてスペースXを選定した。7月17日に行われたブリーフィングでは同機の意匠も公表された。スペースX社はどのような機体を開発し、NASAはどのようにISSを落とすのか?

満身創痍のISS

建設から四半世紀が経過し、老朽化が進むISS。増設が重ねられた結果、その総質量は450トンに。サッカーコートと同等の大きさを誇る史上最大の宇宙機(c)NASA

建設から四半世紀が経過し、老朽化が進むISS。増設が重ねられた結果、その総質量は450トンに。サッカーコートと同等の大きさを誇る史上最大の宇宙機(c)NASA

近年、ISSのモジュールからは微量の空気が漏洩し続けている。2024年2月には、その量が1日当たり0.9kg以上に増加したことをNASAが報告した。安全上のリスクはないが、ISSではこうした事態が常態化している。

ISSの最初のモジュールが打ち上げられたのは1998年。それから四半世紀以上が経過したいま、ISSの老朽化が進んでいる。現時点では2030年にISSの運用を停止し、2031年に太平洋に制御落下させるプランが有力視されている。制御落下とは、宇宙機をコントロールしながら大気圏へ再突入させ、予定した領域に落とすことを意味する。

ISSは高度410kmの地球周回軌道を秒速7.5kmで航行している。その船体には地球の重力が働いているが、猛烈な速度で航行しているため遠心力も働き、それらがバランスすることで地表に落ちることなく、地球を回り続けている。

このISSを落とすには速度さえ落とせばよい。そのためには宇宙船をISSの機首にドッキングさせ、ISSの進行方向に向けてエンジンを噴射する。するとブレーキがかかって速度が落ち、機体に掛かる遠心力よりも地球の重力が勝って大気圏に再突入する。

ただし、ISSの総質量は450トン。高速で飛ぶ巨体には大きな慣性が働いている。そのためISSを落とすには強力なパワーが必要だ。かつて2022年にNASAが公表したプランでは、ロシアの輸送機プログレス3機を順次ISSにドッキングさせ、そのエンジン推力で減速するよう計画されていた。しかし、今回スペースXが発表した機体によると、その任務を1機だけで完遂するようだ。
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編集=安井克至

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