スポーツ

2024.07.25 17:00

パリ五輪の健康リスクはセーヌ川の水以外にも、選手も観客も要警戒

気温が高いことも、大会期間中にパリに滞在する人にとっての問題を大きくするだろう。熱中症のほか、リステリア菌、サルモネラ菌などによる食中毒や、ノロウイルスなどの消化管感染症の危険もある。

さらに、欧州ではこのところ、再び百日咳が流行している。感染力が強く、主に感染者の咳やくしゃみによって飛沫感染する百日咳は、ワクチンの接種によって予防することが可能だ。一定の年数が経過したら、成人用三種混合(破傷風・ジフテリア・百日咳)ワクチンの再接種を受けることが推奨されている。

ワクチン接種率が低い麻疹(はしか)も、多くの国で流行している。感染力が非常に強く、免疫を持たない人が感染者と接触すると、約90%が感染する。成人は重症化の可能性も高く、肺炎や脳炎を起こすことも、死に至ることもある。

7月中旬に伝えられたところによると、大会期間中、パリには約1150万人の観光客が訪れると見込まれている。用心するに越したことはない。

セーヌ川の水質汚染

セーヌ川は100年以上前から遊泳禁止となっていた。大雨が降ると下水管からあふれた水が雨水とともに川に流れ込み、水質が悪化していたことが原因だ。

少なくとも15億5000万ドル(約2370億円)を投じてこの問題に取り組んできた当局は、水質は安全なレベルにまで改善したと説明している。だが、継続的に実施されている調査の結果は、その手法のために著しくリスクを過小評価している可能性があると指摘されている。

特に懸念されているのは、大腸菌のほか病原性レプトスピラへの感染によって引き起こされるレプトスピラ症だ。主な症状には、頭痛、発熱、筋肉痛、結膜炎などがある。保菌動物(多くの場合はネズミ)の尿で汚染された水との接触によって感染するが、非常に少ない量のレプトスピラでも発症する可能性があり、過去にはラフティング体験ツアーの参加者の間で、集団発生したこともある。

forbes.com 原文

編集=木内涼子

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