美容関連産業ほどの規模になった産業が、このような数値を示すことは珍しい。成長産業に投資したい投資家たちが、美容関連企業に多額の資金を投じるのは不思議なことではないだろう。起業も増加を続けており、次々と誕生するスタートアップが、さらに多くの投資家たちの関心を引きつけている。
消費者は新しいものを求め、起業家たちはビジネスを立ち上げ、投資家たちは資金を提供する。提供されている製品を消費者が購入する限り、このサイクルは延々と続いていくだろう。
消費者が今求めるものとは?
近年、美容関連製品の中でどのカテゴリーより需要が高かったのは世界的に、スキンケアだった。だが、ユーロモニターの調査によると、2028年までに予想される成長率は、スキンケアよりもメイクアップ製品(カラー化粧品)やフレグランス、デオドラント、日焼け止め、メンズグルーミング製品などカテゴリーの方が上回るとみられている。さらに、消費者に関心がある美容関連製品は何かと質問したところ、それは必ずしも、業界がこれまで主に提供してきた製品ではないことが明らかになったという。
健康とウェルネスに対する受け止め方についての質問に対し、消費者の大半は、「健康である」ことは「気分が良い状態であること」「病気を患っていないこと」などと回答。身体的な面だけでなく、精神的・感情的にも健康であることだと答えている。
そして、80%以上の回答者は、「高額でも、DNA検査や髪・肌に関する詳しい診断の結果に基づいてパーソナライズされた製品、医学的に推奨される製品を購入したい」と回答した。
一方、美容業界の関係者に対し、過去1年間にローンチされた製品やサービスのうち、最も意義深いものは何かと尋ねたところ、最も多く(40%以上)が挙げたのは、「製品の新処方」と「持続可能なパッケージング」だった。
見過ごされてきた機会
スキンケアへの関心が高まる中、「外見をより良く見せる」ことを助けるための製品を多く販売してきた美容関連産業が重視するカテゴリーは、「健康とウェルネス」や「健康的な肌」へと移行してきた。だが、その「健康とウェルネス」の分野において、消費者が特に関心を持っているのは、業界が最重要視してきたものと同じではなかったことになる。つまり、成長の機会のひとつが、失われてきたということだ。
消費者は、医学的・精神的な面で問題の解決につながることが証明された製品を求めている。だが、業界は主に、既存の製品の処方を新しいものに変えることに集中してきた。そのままでも、当面は成功を維持できるだろう。だが、それでは大きなチャンスを逃すことになる。
すでに数多くのスタートアップが、DNA検査で髪や肌の状態を分析し、より細かくパーソナライズされたソリューションを提供している。大手企業も進出し始めているが、この分野により注力しているのは、若く、規模の小さい企業だ。ウェルネスに高い関心を持つ消費者がより共感を持つのは、そうした小規模の企業の取り組みだと考えられる。
大手企業が同様の方向に舵を切るには、人間の体の「表面だけでなく内側の」ウェルネスへと、重点分野を変えていく必要があるだろう。
(forbes.com 原文)