アジア

2024.07.24 11:00

中国は経済的圧力にもかかわらず行動を先送り 中身乏しい3中全会の政策

Pedro Pardo - Pool/Getty Images

Pedro Pardo - Pool/Getty Images

このほど開催された中国共産党の第20期中央委員会第3回全体会議(3中全会)は、本来なら経済が抱える大きな問題に対処し、将来に向けて経済と金融を確固たるものにするための計画を策定するはずだった。だが習近平国家主席をはじめとする党の上層部は、中国が当分の間、目標以下の成長を続けることを宣告したに等しい。それについて中国の人々には文句をいう権利があるが、その手段がない。

3中全会は何十年もの間、党の上層部を集めて今後5年間の経済政策の方針を決める場となっている。今回の3中全会は数カ月遅れで開催された。当初は昨年秋に予定されていた。3中全会は党大会から1年後に開催されるのが通例だが、今回は昨年の党大会から17カ月の間が開いた。この間隔は毛沢東時代以降で最長となる。

過去に開かれた3中全会には大胆な方向性を打ち出したものもある。例えば1978年の3中全会では、当時のトップ鄧小平のもとで「改革開放路線」が採択され、これにより数十年にわたる急成長と発展がもたらされた。2013年の3中全会では、経済における市場の重要性が確認された。党の幹部約360人が出席した今年の3中全会では、深刻な経済・金融問題への対処が急務であるにもかかわらず、習国家主席が市場の方向性とは対照的に内向き姿勢であることを確認する以外、本質的なことは何も打ち出されなかった。

今回の3中全会でまとめられた中身の乏しい方針は職務怠慢に等しい。中国にはこのような消極的な姿勢でいる余裕はない。深刻な経済・金融問題に対しては、はるかに多くの措置が必要だ。国を弱体化させている不動産危機に対処するには、政府がこれまで行ってきた以上の取り組みが必要だ。一部の都市で売れ残っているアパートを買い取る計画を立てたところで、他の都市の住宅需要に応えることはできない。また、たとえ1兆元(約21兆円)を投じても、危機と不動産部門の経営破綻の規模に見合うものではない。また、負債で現在身動きが取れなくなっている地方政府は、不動産危機の重圧を和らげるための策を打ち出すことはできず、ましてや経済活動を刺激するために中央政府が資金を出すインフラ計画を支援することはできない。

中国の人々は依然として消費に消極的で、民間企業は将来の不確実性から設備投資を減らしている。欧米や日本の企業は中国の経済状況や中国政府による企業への干渉傾向の高まりを警戒し、中国での調達を減らして他のアジア諸国や中南米の国々に投資を移している。それにともない、中国から欧米や日本への輸出も減少している。

3中全会では、今年の実質成長率を5%とする目標があらためて確認されたものの、どのように達成するつもりなのかはまったく示されなかった。第2四半期の実質成長率は4.7%とすでに目標を下回っているというのにだ。

会議自体がオープンではなく、そのため実務的な計画は当局者がコミュニケ(声明)で共有する内容をはるかに超えたものである可能性もあることから、少しは心強く思う人もいるかもしれない。だが実際の計画を隠し持っているというのは前例がなく、今後しばらく中国の経済成長が目標を達成する可能性は低い。

forbes.com 原文

翻訳=溝口慈子

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