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経営・戦略

2024.07.26 16:45

100年企業の倒産が急増 「老舗だから安泰」ではない時代

プレスリリースより

日本には業歴が100年を超える老舗企業が多く存在し、毎年約2000社が100年企業に加わっているという。歴史ある老舗は地道で安定した経営により、災害や戦争を乗り越えて存続できている、と思われがちだが、じつはそうでもない。ここへきて、老舗企業の倒産が相次いでいる。老舗企業の約半数が売り上げ1億円未満の小規模事業者であり、昨今の社会情勢の変化に対応する体力がないことは理解できるが、そこには古い企業ならではの弱点も影響している。

帝国データバンクの調査によれば、業歴100年超の老舗企業の数は世界で約7万5000社(2022年時点)。そのうち4万社以上を日本企業が占め(2023年10月時点)、世界でも突出して多い。世界最古の企業として、聖徳太子が生まれたころの578年に創業した木造建築業、金剛組が有名だ。

ところが、何百年もの業歴を誇る老舗企業の倒産が相次いでいる。今年上半期だけで74件にのぼった。昨年は1年で96件だったので、それを軽く上回る勢いだ。もちろん、日本企業全体の倒産も増えていて老舗企業だけが目立って多いわけではないが、歴史ある企業の倒産を聞くとショックが大きい。

倒産した老舗の業種の内訳は、製造業がもっとも多く、次いで小売業、卸売業となっている。長年伝統を守り続けてきたが、原材料費の高騰や人手不足、後継者難、コロナなどで、ついに力尽きてしまったといったところか。

帝国データバンクは、そのほかの要因も指摘している。コンプライアンス違反だ。業歴150年の白井松器械は20年にわたる粉飾決算が発覚して倒産した。1900年創業のプロルート丸光は、雇用調整助成金の不正受給などが発覚して会社更生法の適用を申請した。不正とまではいかずとも、古い企業の古い商慣行が今のコンプライアンス基準に合わずに立ちゆかなくなることも多いだろう。

じつは、帝国データバンクによれば、日本の老舗企業でもっとも多い業種は意外なことに貸事務所だ。何百年も前から貸事務所という業種があったのかと不思議に思う。不動産業だったら納得がいくが、創業当初、不動産業だった企業はその半数に満たない。過半数の企業は、柔軟に時代の変化に対応してきたということだ。

とはいえ、江戸時代から続く老舗の蕎麦屋がいつの間にか濃厚つけ麺屋に鞍替えしていたら、店の名前は残っていても残念に感じる。だが当の老舗企業にしてみれば、伝統を守るか会社を守るか、難しいところだろう。伝統を守りつつ、効率的かつ健全な経営ができればいいのだろうが、小さな企業にはそれも厳しい。そんなところにこそ、DXが力を発揮できそうな気がするが。

プレスリリース

文 = 金井哲夫

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