米政府系「ラジオ自由欧州・ラジオ自由(RFE・RL)」のクルマシェワ記者は昨年6月、カザニで拘束された。同年10月に「外国の代理人」として登録しなかったとして起訴され、後にウクライナ侵攻に関する公の発言を禁ずる法律に基づいて追起訴された。
クルマシェワ記者に対する判決は19日に下されていたが、裁判所がこれを明らかにしたのは22日だった。RFE・RLのスティーブン・カプス社長兼最高経営責任者(CEO)は、ロシア当局による訴訟手続きは「見せかけの正義」に過ぎないと非難し、同記者の即時釈放を求めた。
クルマシェワ記者はロシア出身だが、ロシアと米国の二重国籍を持つ。チェコの首都プラハに住む同記者は昨年、家族の緊急事態のためにロシアに一時帰国した際、米国の旅券(パスポート)を登録しなかったとしてロシア当局に拘束された。
プラハに拠点を置く米政府系メディアのRFL・RLは、ロシア国内では「好ましくない組織」に指定され、法的に禁止されている。米国のアダム・シフ下院議員とエレノア・ノートン下院議員は報道各社とともに、クルマシェワ記者が不当に拘束されていると宣言するよう、国務省に要請した。同省のマット・ミラー報道官は先週、不当拘束の指定に関する新たな情報はないとしながらも、「報道は犯罪ではなく、われわれは同記者の即時釈放を促している」と説明した。
ロシアで報道の自由が弾圧される中、クルマシェワ記者は同国で有罪判決を受けた米国人記者として今年2人目となる。19日にはロシア中部エカテリンブルクの裁判所も、スパイ罪に問われていた米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)のエバン・ゲルシュコビッチ記者に対し、懲役16年の判決を言い渡していた。
ロシア当局は、ゲルシュコビッチ記者が昨年、取材中に米中央情報局(CIA)のためにロシアの軍事施設に関する情報を収集したと主張しているが、これを裏付ける証拠は示されていない。米国務省は、ゲルシュコビッチ記者が「不当に拘束された」と宣言。WSJとともに、同記者に対する手続きは「見せかけの裁判」だと非難している。一方のロシア側は、ゲルシュコビッチ記者を含む、米国との囚人交換に応じる可能性を示唆している。
(forbes.com 原文)