バイデンが迷っていた期間が長すぎたかどうかは、歴史が判断するだろう。多くの人は「長すぎた」と言うだろう。それでも民主党の重鎮たちは、プライドの高いバイデンに時間を与え、時代の流れをしっかり理解してから決断を下せるよう取り計らうことを選んだ。
払うべき敬意
大統領としての任期を全うし、2期目は狙わないと決めた今、バイデンを誠実な公僕として称えるのは正しいことだ。最も論争が多い時代にあってなお、政治的な隔たりを超えて合意を求めることができた人物である。超党派インフラ投資法案は、バイデンが成し遂げた最高の功績かもしれない。バイデンはいつも、非常に人間的であった。最初の妻を亡くし、2人のわが子の死を乗り越えてきた──特に長男ボーとの関係は親密で、おそらく誰よりも高く評価していた相手だった。そのような家族を喪った経験は、しかしバイデンを屈服させるには至らず、むしろ、やり抜く力を与えた。闘い続けることで、バイデンは喪失に苦しむ人々と心を通わせたのだ。
バイデンは決して完璧ではなかった。有権者の支持を失うようなミスも犯したし、失言を連発することもあった。吃音の影響もあったが、話すのが好きだったため、言い間違いをよくやらかし、事物の名称や日付、人名をたびたび取り違えた。
バイデンは今後、残された任期を使って、民主党の候補者たちのための選挙運動や、自身の行動力の源となってきた諸問題の啓発を行うことができる。バイデンの撤退表明は、優れたリーダーとはエゴを自在にコントロールできる人物であることを示している。
(forbes.com 原文)