欧州

2024.07.22 11:30

スパイ罪で米紙WSJ記者に懲役16年 ロシア裁判所

ロシア中部エカテリンブルクの裁判所に出廷した米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)のエバン・ゲルシュコビッチ記者。2024年7月19日撮影(Anton Butsenko/Anadolu via Getty Images)

ロシアの裁判所は19日、スパイ罪に問われていた米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)のエバン・ゲルシュコビッチ記者に対し、懲役16年の有罪判決を下した。

ゲルシュコビッチ記者は昨年3月、ロシア中部エカテリンブルクでの取材中に拘束され、起訴された。ロシア当局は、同記者が米中央情報局(CIA)のためにロシアの軍事施設に関する情報を収集していたと主張しているが、これを裏付ける証拠は提示されていない。

ゲルシュコビッチ記者の裁判は非公開で行われ、わずか3日で有罪判決が下された。ロシアの裁判では、被告の有罪率は99%となっている。裁判所の報道官は記者団に対し、ゲルシュコビッチ被告は法廷で「罪を認めなかった」と説明した。

WSJはこの前日、ゲルシュコビッチ記者の不当な拘束は「暴挙」だと非難。ロシア当局による手続きは「見せかけの裁判」だとして、今後も同記者の釈放を求め続けると宣言した。米国務省も同様に、ロシア当局の手続きを「見せかけ」と糾弾し、ゲルシュコビッチ記者のほか、2018年にスパイ容疑でロシア当局に逮捕され、現在も服役中の米元海兵隊員ポール・ウィランの釈放に向け、引き続き努力すると明言した。

ジョー・バイデン米大統領は19日、「報道は犯罪ではない」と訴え、ロシアがゲルシュコビッチ記者を不当に拘束していることに疑問の余地はないと述べた。その上で、同記者の釈放を強く要求しており、今後も引き続き求めていくとした。

米国務省は昨年4月、ゲルシュコビッチ記者が「不当に拘束されている」と宣言。数十社に及ぶ世界中の報道機関も同記者の解放を求めている。

ゲルシュコビッチ記者を巡っては、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領が先に、2019年にロシア南部チェチェン反乱軍の元司令官を殺害した罪でドイツの刑務所で終身刑に服しているロシア人ワジム・クラシコフ受刑者との交換をほのめかすなど、囚人交換の可能性に前向きな姿勢を見せている。ロシア大統領府(クレムリン)と米国務省は明言を避けているが、ロシアのセルゲイ・ラブロフ外相は17日、米国の「特殊部隊」と囚人交換について交渉していると明かした。

ウクライナ紛争を巡り米露の緊張が高まる中、ゲルシュコビッチ記者やウィラン元海兵隊員を含む9人の米国民がロシア国内で拘束されている。両国は2022年12月、密輸容疑で同年2月にロシアで拘束された米女子プロバスケットボール(WNBA)のブリトニー・グライナー選手と、米国人殺害の共謀罪で有罪判決を受けたロシアの武器商人ビクトル・ブート受刑者を交換することで合意した。

forbes.com 原文

翻訳・編集=安藤清香

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