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2024.07.20 13:00

バドライト、米ビール販売で3位に転落 不買運動の影響が継続

Getty Images

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ビール大手アンハイザー・ブッシュ・インベブ(ABインベブ)の主力ビール「バドライト」が、米ビール市場で売上3位に転落した。代わって、低カロリービールブランドの「ミケロブ・ウルトラ」が2位に浮上。首位は、酒類販売大手コンステレーション・ブランズの「モデロ」が維持している。

バドライトは2023年、トランスジェンダーのインフルエンサー、ディラン・マルバニーとの協業を理由に不買運動を起こされて売上トップの座から陥落したが、この影響が依然として続いていることが改めて浮き彫りになった。

不買の呼びかけから1年以上が経過した現在も、バドライトはシェアを失い続け、競合ブランドの売上は増加している。

7月6日までの4週間で、米ビール市場はモデロが9.7%でリードし、ミケロブ・ウルトラが7.3%、バドライトが6.5%、コロナ・エキストラが5.8%で続いた。

この4週間には米独立記念日(7月4日)が含まれていて、ビールブランドの年間業績に大きな影響を与えると米紙ウォールストリート・ジャーナルは報じている。

バドライトの売上が減少する一方で、ABインベブの他ブランドであるミケロブ・ウルトラやブッシュライトはこの4週間で売上を伸ばした。ただし、同社の株価は年初来4%下落している。

昨年の騒動後、バドライトが失った米国でのビール売上高は14億ドル(約2202億8000万円)に上る。ABインベブの企業価値は270億ドル(約4兆2500億円)以上目減りし、米市場シェアは半減した。これは主に、米小売業者がバドライトの棚面積を最大7.5%削減したことが原因だ。

ABインベブはミケロブ・ウルトラなど他ブランドの販売を推進し続けているが、コンステレーション・ブランズのモデロエスペシャルが大きな市場シェアを獲得したことで、競争環境が変化した。とはいえ、ABインベブは今夏のコパ・アメリカやパリ五輪でのパートナーシップを通じて、ミケロブ・ウルトラのさらなる成長を期待している。

バドライトを巻き込んだ文化戦争の発端となったディラン・マルバニーは、自身の性別移行の詳細をソーシャルメディアで公開し、人気を博していた。バドライトのマーケティング担当副社長だったアリッサ・ハイナシャイドは、バドライトの「学生っぽい」イメージをより包括的なものに変えたいとインタビューで述べたが、これはブランドがそのコア顧客基盤を見捨てたとの非難を引き起こした。フロリダ州知事のロン・デサンティスは、ABインベブが株主への義務に違反したとして法的措置を取るよう要求。一方、LGBTQ+擁護派はマルバニーを支持しない同社を批判し、同社は政治的対立の渦中に巻き込まれた。保守派は同社に対する不買運動を展開し、米国内でのブランドの評判と売上に大きな打撃を与えた。

今年2月に行われたスーパーボウルに先立ち、ドナルド・トランプ前大統領は自身が立ち上げたソーシャルメディア「トゥルース・ソーシャル(Truth Social)」でバドライトを批判したが、その後予想外の支持を表明した。マルバニーとのコラボレーション広告を批判した2日後、トランプはABインベブが数千人の米国人を雇用していることを称賛。「偉大な米国ブランド」であり「名誉挽回のチャンス」に値すると述べたのだ。ウォールストリート・ジャーナルによると、この投稿の翌日、ABインベブの株価は5%上昇した。

米トップ10ビールブランド

バンプ・ウィリアムズ・コンサルティングの分析によると、7月6日までの4週間の市場シェアに基づく米ビール上位10ブランドは以下の通り。

1. モデロエスペシャル (9.7%)
2. ミケロブウルトラ (7.3%)
3. バドライト (6.5%)
4. コロナエキストラ (5.8%)
5. クアーズライト(5.7%)
6. ミラーライト(4.8%)
7. バドワイザー(2.9%)
8. ブッシュライト (2.8%)
9. ナチュラルライト (1.8%)
10. ミラーハイライフ (1.0%)
 
forbes.com 原文

翻訳=酒匂寛

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