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江戸時代に活躍した商人、河村瑞賢。江戸の大火の際に材木を買い占めて巨額の富を得た話は有名だ。
(フォーブスジャパン8月号より)



本物の投資家ほど、実は利他主義であり、投資行動が未来を変える原動力になっている。
『投資家が「お金」よりも大事にしていること』の著者であり、レオス・キャピタルワークス取締役CIOの藤野英人氏が注目するステキな投資家とは


河村瑞賢 / 船の航路のルールづくりまでしたユニークな発想で活躍した商人

現在にも通ずる「情報収集」「仕組みづくり」の達人

江戸時代の初期から中期にかけて活躍した商人に、河村瑞賢という人物がいた。
非常にユニークな発想の持ち主で、投資家にとって必要な素養を彼から教わった気がしている。

とにかく、機転が利く。まず、お金を稼ぐアイデアがユニークだ。
お盆に祖先の霊を弔うため、野菜で馬や牛を擬した「精霊馬」をつくって川に流す風習を活用し、河村は川下に大きな網を張り、上流から流れてくる精霊馬をせき止めた。人夫を使い、川下でせき止めた野菜を引き上げ、塩で揉んで漬物に。それを「非常にありがたい漬物」と呼び、通常の漬物よりも高い値段をつけて縁起物として販売したという。そのまま川に流されていけば、ゴミにしかならない野菜の切れ端をお金に変える手腕は、実に鮮やかだ。

1657年1月、江戸で「明暦の大火」が起こった。河村はそのとき、名古屋にいたが、大火の情報を誰よりも早く掴み、木曽の山奥で木を大量に買い占めた。理由は、江戸を再建するのに大量の木材が必要になるからだ。当然、大火の情報が伝われば、木材価格は暴騰する。それを見越して木を買い占め、馬で江戸に送ったという。

情報と投資は切っても切れない関係にある。そして、この手の話は海外でも多い。
たとえばJPモルガンが大金持ちになったのは、南北戦争の戦況をモールス信号で逐一キャッチし、南軍が勝ったら南の会社の株を買い、北軍が勝ったら北の会社の株を買うというオペレーションを行ったからだといわれる。ロスチャイルドも、ワーテルローの戦いで、フランス軍を率いるナポレオンの敗北を1日早く知り、イギリス国債を大量に買い付けて多額の利益を手中に収めた。情報のギャップから利益を得るのは、現代の投資にも一脈通じるものがある。

このように書くと、河村瑞賢は金の亡者という感もあるが、そうではない。彼は晩年にかけ、東回り航路、西回り航路といった船の航路を整備するとともに、船同士が衝突しそうなときの対処法や、積荷の重量制限といったルールづくりを行ったことでも知られている。
公平なルールづくりは、マーケットを維持していくうえで必要不可欠だ。

 ユニークなアイデアを考える。
 誰よりもいち早く有益な情報を取る。
 誰にとっても公平なルールをつくる。


彼が残した功績を見ると、投資の根幹を成すものと相通ずるところがあるように思えてくるが、いかがだろうか。

鈴木雅光 = 構成 ヤン・ブース = 写真 東海林巨樹 = イラスト

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