昨年の同時期にiPhone14シリーズおよびiPhone14 Proシリーズが全体に占めた割合が79%だったことを考慮すると、減速傾向は明らかだ。
iPhoneの需要が減少している中、ティム・クックらアップルの陣営は、生成AIを用いて消費者を同社のエコシステムに惹きつけようとしている。しかし、それは移り気なスマートフォンの消費者に忍耐を求める賭けと言える。
アップルが6月の開発者会議(WWDC)で生成AI関連の計画を発表して以降に、同社の株価は7%上昇しており、その背景には、iPhoneの売上が上昇するのではないかという期待がある。Apple Intelligenceと呼ばれる同社の生成AIが利用できるiPhoneは、現行モデルの中では最も高価なiPhone 15 Pro Maxのみに限定されているが、その理由としては、生成AIにはより高度な処理能力が必要なことや、アップルがユーザーデータを可能な限りデバイス上で処理しようとしていることが挙げられる。
iPhone 15 Pro Maxを持たない消費者は、アップルの生成AI機能にアクセスするためには今年発売予定の最新のiPhoneを購入する必要がある。
しかし、ここで問題なのは、Apple Intelligenceが本格的に利用可能になるのは、2025年の第1四半期以降とされている点だ。ティム・クックと彼のチームは、将来的に生成AIが使えるようになる期待をもとに、アップルの信奉者らに最新モデルの購入を求めることになる。
一方、アップルが提供するような生成AIによる機能やメリットは、すでにアンドロイド端末でも提供されている。アップルは、グーグルが2023年10月に発売したPixel 8で「AIファーストのスマートフォン」をアピールして以来、後れをとっている。グーグルはまた、8月にはPixel 9シリーズを発売する予定で、それを踏まえるとアップルのAIはグーグルから2世代後れたものになってしまう。
消費者は、アップルがこの分野の競争に追いつくの待ってくれるのだろうか? それとも、もう待てないと判断するのだろうか? もし前者であれば、Appleが長期戦に向けて覚悟したことにより、iPhoneの売上は回復に向かうだろう。しかし、もし後者であれば、アンドロイドのエコシステムはアップルの急所を突いたと判断できるのかもしれない。
(forbes.com原文)