経営・戦略

2024.08.08 09:15

人はメルカリ登場をなぜ喜んだか? 編集長10年取材録#1 (2015)

Forbes JAPAN2015年2月号と2024年8月号(創刊10周年特別記念号):サムネイルデザイン=リンクタイズデジタル

Forbes JAPAN2015年2月号と2024年8月号(創刊10周年特別記念号):サムネイルデザイン=リンクタイズデジタル

編集長の忘れられない「この一言」

Forbes JAPANは創刊10年を迎えた。

シニアライターとして創刊に関わり、2019年より編集長を務める藤吉雅春が10年分の取材ノートから忘れられない「この一言」を抜粋。リーダーたちの言葉にどんな未来を見たのか。


Forbes JAPAN編集長 藤吉雅春

Forbes JAPAN編集長 藤吉雅春

一回目の今回は、2015年2月号、「日本を救う起業家BEST10」1位のこの人。


〈既存の流通を破壊しているのではありません。イメージとしては飛行機のLCCに近いです〉

(Forbes JAPAN2015年2月号 「日本を救う起業家BEST10」1位 メルカリ 山田進太郎)


2014年6月にForbes JAPANを創刊して、その年の暮れに開催したのが「THE START-UP OF THE YEAR 2015」だった。当時はスタートアップという言葉への認知は非常に低く、今のように総理大臣が経済政策の中心に据えることなど想像もしていなかった。第一回目となるこの年のランキングで1位になったのが、2013年2月に創業したばかりのメルカリである。

Forbes JAPAN編集長 藤吉雅春の"10年分の取材ノート"から

当時、私は本誌のシニアライターという立場で主要記事の取材執筆を担当していた。メルカリの取材は2014年の11月から12月にかけて行った。どう取材を進めていこうか、あちこちの関係者を取材しながら構想を練っていたことは覚えている。というのは、メルカリの認知度はまだ今ほど高くなく、困っていたのは次の点だった。

・フリーマーケットアプリというが、そんなに斬新な技術ではない。

・「売ります、買います」というビジネスは昔からあり、昭和の時代はどの雑誌にもその手の掲示板コーナーがあった。

一方で、投資家たちの評価は群を抜いて高く、多くの出資が集まっていた。しかも、評価したのは投資家たちだけではない。

・楽天、ヤフー、mixiなどネットビジネスで成功を体験した人たちが、「いける」「未来形が見えた」と確信して、転職してきていた。

・アメリカで拡大する「シェアリングエコノミー」という言葉をForbes JAPANで紹介したばかりで、C2Cビジネスは日本でも増える兆しがあった。

・2010年代に入り、人々がスマホを持ち始めており、ネットはPCからスマホに移行するかもしれないという予測があった。

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文=藤吉雅春 編集=石井節子

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