ヘルスケア

2024.07.19 13:00

暑い夏、1日に飲むべき水の量は「尿とその頻度」でわかる

ローストチキンのように炎天下で身体を焼いているとき、スプリンクラーのように大量の汗をかいているとき、あるいはエアコンの効いた非常に乾燥した部屋で過ごしているとき、状況によって必要な水分の補給量は異なる。(Shutterstock)

ローストチキンのように炎天下で身体を焼いているとき、スプリンクラーのように大量の汗をかいているとき、あるいはエアコンの効いた非常に乾燥した部屋で過ごしているとき、状況によって必要な水分の補給量は異なる。(Shutterstock)

1日平均どのくらいの量の水を飲むべきかということについて、例えば「8オンス(約240cc)のコップで8杯」など、さまざまな経験則を耳にしたことがあるのではないだろうか。しかし、現在のような猛暑の中でも、そのような経験則は通用するのだろうか。それとも単なる俗説となってしまったのだろうか。

もちろん、ローストチキンのように炎天下で身体を焼いていたり、スプリンクラーのように大量の汗をかいたり、あるいはエアコンの効いた非常に乾燥した部屋で過ごしていたりと、さまざまな状況によって必要な水分の補給量は異なるだろう。さらに、人間は実にさまざまだ。単純な杓子定規的な数字が、すべての人、すべての状況にあてはまるわけではない。1日に飲む水の量を決めようとするよりも、特定の身体機能を観察し、それに従うことが重要だ。そして先に結論を言ってしまえば、この身体機能によって、水分補給に関しては尿の状態を見れば判断できるのだ。

まず最初に、最も一般的な4つのよく言われている水分補給の単純な経験則を見てみよう。

1. 「1日に8オンス(約240cc)のコップで6〜8杯の水を飲む」という法則

これは特に8×8と考えると覚えやすい。そういう意味では役に立つ。しかし、前に示したように、単純な杓子定規的な数字には、人によって異なる身体や状況が考慮されていない。

2. 「1日に男性は3.7リットル、女性は2.7リットルの水を摂取する」という法則

なるほど、ご存知のように男性は火星から、女性は金星からやって来たのだから、男性と女性を分けて考えるというわけだ。しかし、これも正しいとは言えない。なぜなら、すべての男性が、そしてすべての女性が、みんな同じではないからだ。平均的には男性のほうが女性よりも体格は大きいが、それぞれの性別の中で膨大な多様性が存在する。例えば、身長160cmのジョッキーの男性は、身長190cmの女子バスケットボールの選手よりも多くの水分を必要とするのだろうか?

3. 「体重(ポンド)に0.5を掛けると1日に飲むべき水の量(オンス)がわかる」という法則

例えば、体重150ポンド(約68kg)の人なら75オンス(約2100cc)の水を1日に飲むべきということになる。この法則は人の体重を考慮したものだが、しかし運動量は重要ではないのだろうか? それなら、なぜわざわざマラソンのコースの途中に水の入ったコップが置かれているのだろう?

4. 「30分の運動につき12オンス(約340cc)の水を補給する」という法則

これはアメリカスポーツ医学会が提唱しているもので、ある程度は身体活動度を考慮に入れている。しかし、すべての身体活動が同じではない。吹雪の日に裏庭でリスを追い回すのと、春にゴルフをプレイするのと、夏の猛暑の中でチーズ転がしに興じるのは、同じ30分でもぜんぜん違うはずだ。

これらの法則はすべて、おおまかな数字を教えてくれる。特に、1日に指ぬき1杯分の水を飲むべきか、それともバケツ1杯分の水を飲むべきかで、迷っている場合には有効だろう。しかし大事なのは、上に挙げた数字に厳密にこだわるよりも、自分自身の身体に細心の注意を払い、その身体が伝える声に耳を傾けることだ。
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翻訳=日下部博一

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