2024.07.20 09:00

死亡事故の3分の1は「スピードの出しすぎ」、米国最新データ

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米国での「スピードの出し過ぎ」に関連した衝突事故の死者数は、2022年にわずかながら減少した。しかし、その年の全ての交通死亡事故原因のうち「スピード超過」は、依然として29%を占めていた。1万2150人が死亡し、負傷者数は30万595人と試算されている。

以上は、米運輸省の道路交通安全局(NHTSA)が2024年7月8日に公開した最新データの主要ポイントだ。

NHTSAのソフィー・シャルマン局長代行は、声明で次のように述べた。「スピード違反は、米国内の道路上で起こる死亡事故のうち、約3分の1の原因となっている。遅れそうな時にスピードを出すことは、時間を取り戻すための手っ取り早い方法に思えるかもしれない。しかし、あなた自身や愛する人、そして道路を利用するすべての人々を危険にさらしている」

新しい統計は、スピード違反が死をもたらすことをドライバーに認識させ、啓発を進めるために運輸省が毎年行なっている交通事故防止キャンペーン「Speeding Catches Up with You(スピード違反があなたを追い詰める)」に関連して、シカゴでのメディア向けイベントで発表された。このキャンペーンは7月31日まで続く。

シャルマン局長代行は、「NHTSAはこの夏、いや、1年を通して、皆が安全に目的地に到着できるよう、ドライバーに減速を促している」と付け加えた。

スピード違反が生み出す危険や深刻な結果に関しては、死亡事故に加えて、重傷につながる大きな衝突事故の増加、違法行為、その他、以下のようなものがある。

・車両を制御できなくなる可能性の増大
・ドライバーが、周囲にいる車両や障害物、予期せぬカーブを避け、安全に運転できる能力の低下
・危険を認識してから停車までにかかる時間の増加
・乗員保護装置の有効性の低下
・「速度に起因する事故」が持つ経済的影響

NHTSAはさらに、高速道路に限らず、すべての道路でスピード超過があり、それがいかに危険であるかを人々に思い出させた。例えば、2022年に起こったすべてのスピード関連の道路死亡事故のうち87%は、州間高速道路ではない道路で発生している。

安全速度での走行は、米運輸省が2022年1月に発表した交通安全施策のロードマップ「国家道路安全戦略(NRSS)」の主要目標だ。この戦略は、ピート・ブティジェッジ運輸長官が「米国内における道路死亡事故の継続的な危機」と呼ぶ、スピード違反に起因する状況を改善するために考え出された。運輸省は2024年前半に、2024年版の進捗報告も出している。

NRSSの進捗報告は以下のとおり。

1)歩行者を発見した場合を含む自動緊急ブレーキに関する規則を制定し、すべての新型乗用車と商用トラックなどの大型車に関して、新しい自動車安全技術の導入を加速する。

2)裁量的補助金プログラム「Safe Streets and Roads for All(万人のための安全な街路と道路)」を通じて、地方、地域、コミュニティレベルで交通安全を向上させるために17億ドル(約2655億円)の資金が提供された。補助金を受けたコミュニティは1000を超え、全米の70%近くに相当する。

3)新版『統一交通制御装置マニュアル』のような主要な交通安全規制をアップデートするとともに、連邦補助金を利用する州に対し、再舗装や修繕のためのプロジェクトを利用して、すべての道路利用者の安全性を向上させることを奨励するガイダンスを改訂した。

forbes.com 原文

翻訳=藤原聡美/ガリレオ

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